2004年06月11日
住友化学、三菱化学のサウジ計画で石化の世界戦略新展開
住化の評価はシンガポールの実績とアジアでのマーケティング
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成、住友化学、三井化学、三菱化学、三菱商事

 先月初め住友化学がサウジアラビアン・カンパニー(サウジ・アラムコ)との石油精製、石油化学の合弁計画(調査)を発表していらいわが国石油化学業界の世界戦略が大きく前進する見通しとなった。

 住化に続いて最大手の三菱化学が三菱商事などと同じサウジで、石油化学プロジェクトを展開することになったためで、これに続く三井化学、出光石油化学、旭化成などが今後どのような動きをみせるか注目されている。

 一方、住友化学のサウジ計画で競合関係にあった米・ダウケミカルは改めて中国での石油化学事業展開を検討中と伝えられており、日本勢への参加呼びかけを含めて、目を離せない状況。

 三菱グループのサウジでの石化事業は1981年以降、小規模ながら生産を続けているため、具体計画を発表するまでにいたっていないので、住友化学の幹部にサウジ計画の背景、今後の見通しなどを聞いた。以下はその要約である。

 サウジ計画は昨年後半にサウジ側から誘いがあった。ダウケミカルへ打診した話も聞いたが、当社が事業化調査を契約するという状況になった。当社と結びついた理由としては、中国を含めてアジアでのマーケティングが進んでいること、シンガポールでの石化事業の展開(実績)が評価できることなどがあげられよう。

 これに対し、当社側もサウジが世界最大の産油国で、しかも石油のコストが著しく安く、競争力があること、資金調達の見通しがあることなどの利点がはっきりしたため提携に踏みきった。

 ともかくアジア市場の拡大は急速に進むだろうし、とくに中国の市場は大きくなる。米・ダウケミカルの中国での事業展開は、おそらくロシア原油を巻き込んだ形で進むのではなかろうか。

 資金調達については約43億ドル(約5,000億円、エチレン130万トン設備など)の半分2,500億円ていどを当社側が出資するわけだが、資金が足りなくなっても、サウジ側は建設した設備を担保に借入れはできるといっているので当面、問題ない。

 テロなどの問題についてはプラントの完成が、2008年になるので、ここは沈静化を期待したい。


参考記事
●2004年05月11日
米倉・住化社長「ラービグ計画」に強い意欲と自信 
http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.cgi?CODE=13545

●2004年05月10日
住友化学とアラムコの合弁計画、業界に驚きと反響
http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.cgi?CODE=13530

●2004年05月09日
住友化学発表、サウジにエチレン130万トン、プロピレン90万トン
http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.cgi?CODE=13524