2004年06月23日
三菱レイヨンとインフォジーンズが提携
内分泌かく乱検査用DNAチップの研究開発と事業化で
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンとバイオベンチャー企業のインフォジーンズの両社は23日、化学物質の内分泌かく乱作用を検査するための重要なツールと言えるDNA(デオキシリボ核酸)チップの研究開発と事業化の両面で提携することで基本合意に達したと発表した。
 
 すでに両社は、インフォジーンズ社と独立行政法人産業技術総合研究所が共同で特定した遺伝子、すなわち内分泌かく乱作用物資によって異常発現を起こす遺伝子を、三菱レイヨンが独自に開発した高性能かつ汎用型の繊維型DNAチップに搭載した製品のプロトタイプ品を完成済みなので、今年秋には共同で上市する予定。
 このDNAチップを使用することで、化学物質の内分泌かく乱作用を遺伝子レベルで評価することが可能となり、しかも極めて簡便かつ大規模に同作用の有無を検査できることになるので環境保護や生態系保全に大きく貢献していけると両社では説明している。
 当面は、内分泌かく乱物質関連の研究分野で利用されていくことを期待しているが、2〜3年後には化学物質の内分泌かく乱作用の検査用に広く活用されるように持っていきたいという。ついては、両社で共同出資会社を設立して普及を図っていく考え。
 
 化学物質の内分泌かく乱問題の解明は、世界各国の化学業界のみならず化学製品の利用者や環境ならびに産業に係わる行政当局、さらには関係学界等あらゆる分野の関係者に共通した重要課題となっている。しかしながら、現時点では多種多様な化学物質それぞれについて内分泌かく乱作用の有無を高精度でチェックする簡便な仕組みが確立されておらず、長い実験期間と膨大なコスト負担を要する動物実験に頼らざるを得ない状況にある。
 そうした中での今回の両社の提携は、三菱レイヨンが特有の中空繊維配列体スライス製法で02年夏以降に製造している高性能かつ量産型の繊維型DNAチップ(商品名・ジェノパール)のプラットフォームと、内分泌かく乱作用を評価するに適したインフォジーンズ社の遺伝子セットの組み合わせが実現、それによって各種物質の内分泌かく乱作用や発がん性を評価できる汎用性の高いDNAチップシステムを提供していくことが可能になるとあって、大きな意味を持つと言えそう。