2004年06月29日
旭化成ケミ、BZの高騰に対処してSMの減産を強化
フェノールメーカーもBZが続騰するなら減産志向
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:BASF、旭化成、旭化成ケミカルズ、三井化学

 旭化成ケミカルズは7月1日からスチレンモノマー(SM)の減産を強化することになった。6月7日いらい水島工場B地区の年産15万トン設備の稼働率を60%に抑えているが、1日からはC地区の同30万トン装置の操業率も80%に抑制する。差し当たり8月末まで継続する考え。
 
 これに伴い、同社の当面の操業率は、現在の92%からさらに85%に縮小することになる。月間約1万トンの減産となる。01年に需要の大幅な減少に対応して80%にしていらいの大幅減産である。今回の減産は、ナフサの高騰に加えての原料ベンゼン(BZ)の続騰によって採算の維持が困難となってきたことに対処してのものである点が前回とは大きく異なるところ。

 現在の旭ケミカルズのSMの生産能力は3基合計で同78万トンで、アジア地域最大規模。この一年あまり、需要が内外とも関係者の予想以上のペースで拡大してきたため6月初旬まではフル稼働を続けてきた。
 
 そうした中で一転して減産に踏み切ることになったのは、BZの国際相場が6月に入って、それまでのガロン当たり228セント(トン当たり684ドル)から同260セント(同780ドル)に高騰、さらに7月は同300セント(同900ドル)への続騰が必至となってきたことによって、SMの販売価格との間の必要なスプレッドを確保できなくなる見通しとなってきたから。

 同社は今年5月末までに3次にわたって合計キログラム30円の値上げを実施、また輸出価格もこの2ヶ月でトン当たり120〜130ドル底上げしているが、ナフサとBZの続騰が確実となってきたので逆ザヤとなるのが避けられないと判断している。

 海外の化学業界では、今回のように原料が急騰すると直ちにほとんどの企業が大幅減産を実施して“ダメージ”を最小限に抑える措置を取るのが通常のパターン。今回のBZの急騰に対してもBASFグループが20%の減産に踏み切ってさらに同様の動きが他社に広がる見通しにある。

 また、同じBZの大手消費先でありフェノールの大手メーカーである三井化学も、BZの高騰が続くなら防衛上の減産措置を考えていかざるを得ないと述べるなど、BZ誘導品業界全体に減産機運が高まりつつある。