2004年07月01日
三井化学、PTAの輸出価格の底上げに再挑戦
PXの高騰に対応、7月分を795ドルにアップ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、PTAの7月の中国向け輸出価格をトン当たりCFR795ドルに引き上げることにして現地の需要家ならびにトレーダー各社と交渉を開始した。6月分に比べると同5ドルのアップとなる。
 
 今回の交渉は、中国側各社の強い抵抗で6月に実現できなかった値上げに対する再挑戦となるもの。同社は、原料PX(パラキシレン)の高騰に対応して5月に対中輸出価格を同15ドル底上げしたものの、その後もPXが高騰を続けたため6月分をさらに同5ドル引き上げることにして需要家ならびにトレーダー各社と折衝を重ねてきた。しかし、主要ユーザーであるポリエステル繊維メーカーが製品価格への転嫁が不可能として強く反発してきたことから据え置きを余儀なくされてこんにちに至っている。
 対するPXの価格は、7月も引き続き同5ドル引き上げられることが確定的となっており、このため同社としてもこれ以上輸出価格の据え置きを続けるわけにはいかないとして再度底上げに挑戦することにしたもの。
 中国のPTAの需要は引き続き活発で、わが国など海外各国からの輸入量は昨年同期を大幅に上回る規模となっている。今年1月から5月までの輸入通関数量の累計は235万2,000トンで、前年同期を34%上回っている。対するPTAの供給能力はこのところどの国でもほとんど増強されておらず、このため需給バランスは世界全体で極めてタイトな状況にある。
 ただし、中国ではポリエステル繊維メーカーが大幅増設を続けてきたことによって同繊維業界の稼働率は75%前後まで落ち込んでおり、また採算も急速に悪化している。三井化学などPTA各社の値上げ交渉が実を結ばないままとなっているのはこうした事情が存在するからで、今後の交渉はかなりハードなものとなりそうだ。