2004年07月02日
三井化学、フェノールの輸出価格を再修正へ
ベンゼンのさらなる高騰に対処、1180ドルを目指す
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 アジア地域におけるフェノールのプライスリーダーである三井化学は、7月後半の船積み分からフェノールの輸出価格を再度上方修正することになった。国内の千葉、大阪、岩国・大竹の3工場とシンガポールの子会社の工場から船積みされる中国を中心としたアジア地域向け輸出量全てを対象に、トン当たり150ドル引き上げる。CFR1180ドルが今回の目標価格。
 
 今回の輸出価格の再修正は、原料ベンゼンの7月の価格が異常とも言える高値に押し上げられることが確定したのに対処してのもの。
 同社などわが国のフェノールメーカーやスチレンモノマーメーカーなどが入手するベンゼンの価格は、かねてから米国のコントラクト価格(USCP)と国産ナフサ価格の変動にリンクするかたちで決められるパターンが定着している。そのUSCPの過去1年の推移をたどると、昨年第3・四半期がガロン当たり140.7セント、第4・四半期が148.7セント、今年第1・四半期が189.8セント、第2・四半期が241セント--と急上昇してきている点がはっきり読み取れる。月単位で見ると、今年1月の171.5セントが6月には260セントまで上がり、そして7月分は307セントへとさらに急騰することが1日に確定した。トン当たりの価格は920ドルにもなる。
 三井化学のような大手フェノールメーカーの場合でも、ベンゼン価格とフェノールの販売価格との最低限の必要スプレッドはトン当たり280ドルと言われる。現実には、6月後半の輸出価格の平均が1030ドルなので、完全な逆ザヤに陥っているということになる。
 今回の再値上げは、第3・四半期のベンゼンのUSCPが7月の307セントから通期平均では少しレベルダウンするもののなお300セントに高止まりするとの判断によるもの。
 需要は中国を中心に引き続き好調であり、一方の供給量は全世界的にしばらく拡大する見通しにないので需給バランスは当分の間“超タイト”な状況が続くと言うのが関係筋に共通した見かたとなっている。したがって、今回の三井化学が打ち出した新たな輸出価格も比較的短期間に市場に浸透するのではないかと見られている。