2004年07月05日
汎用樹脂の対中輸出、5月は再び多くが前年割れ
前年超えはPPコポリマーだけ、累積も5品種がマイナスに
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 汎用樹脂の5月の中国向け輸出(香港向けを含む)が再び前年同月を大きく下回るかたちとなった。合計6品種のうち、前年同月を上回ったのはPP-C(ポリプロピレンのコポリマー)だけ。LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PP-H(ポリプロピレンホモポリマー)、PS(ポリスチレン)、PVC(塩ビ)ホモポリマーの5樹脂は全て前年同月を下回った。しかも、縮小率がこれまでになく大きい点が目を引く。
 
 汎用樹脂の今年に入ってからの中国向け輸出は、スタートの1月こそ多くの品種が前年同月を上回ったものの、2月以降は冴えない状態のまま推移している。1月は合計6品種のうちLDPE、PP-H、PP-C、PVCの計4品種が前年同月を上回ったが、2月は前年同月超えがPVCだけとなり、3月はゼロに、そして4月は3品種に増えたものの、5月は再び1品種だけにとどまった。
 過去数年は、6品種のうち4品種が前年の実績を上回ってきたが、今年1〜5月の累計は前年同期を上回ったのがPP-Hだけとなっている。
 低迷の背景としては、国内需要が旺盛なため多くの樹脂メーカーが輸出を抑制する政策を取らざるを得なくなったこと、ナフサの高騰で多数の企業が採算性の低い汎用樹脂よりも化成品やオレフィンの輸出を優先するようになってきたこと、成長性の高い中国市場でのシェアの拡大を狙って他の国がこれまで以上に対中輸出に意欲を燃やしてきたこと--などが挙げられる。特に軽視できないのは第3の点で、日本の汎用樹脂メーカーがこの点をどう認識してどういった戦略を考えていくかが注目される。
 
 汎用6樹脂の5月の対中輸出通関数量は以下の通り。右は1〜5月の累計。単位はトン。かっこ内は前年比。
 [LDPE]
 中国 5,989( 77.6%) 31,023(105.1%)
 香港 3,759( 76.0%) 24,118( 89.5%)
 中国計 9,748( 77.0%) 55,141( 97.6%)
 輸出計 16,921( 82.6%) 97,430(101.8%)
 中国比 57.6% 56.6%
 [HDPE]
 中国 8,089( 76.7%) 38,877( 70.1%)
 香港 880( 93.0%) 4,173( 64.0%)
 中国計 8,969( 78.0%) 43,050( 69.4%)
 輸出計 14,993( 81.9%) 79,028( 78.2%)
 中国比 59.8% 54.5%
 [PP-H]
 中国 8,028( 87.5%) 58,816(134.0%)
 香港 2,791( 59.6%) 13,341( 54.8%)
 中国計 10,819( 78.1%) 72,157(105.7%)
 輸出計 19,982( 81.9%) 126,374(102.8%)
 中国比 54.1% 57.1%
 [PP-C]
 中国 1,890(160.2%) 11,935(108.5%)
 香港 1,084(135.3%) 4,920( 78.0%)
 中国計 2,974(150.1%) 16,855( 97.4%)
 輸出計 7,798(110.5%) 42,592( 92.2%)
 中国比 38.1% 39.6%
 [PP計]
 中国 9,918( 95.8%) 70,751(128.9%)
 香港 3,875( 70.6%) 18,261( 59.5%)
 中国計 13,793( 87.1%) 89,012(104.0%)
 輸出計 27,780( 88.3%) 168,966( 99.9%)
 中国比 49.7% 52.7%
 [PS]
 中国 1,090( 36.8%) 7,420( 44.6%)
 香港 4,693( 89.9%) 21,704( 60.0%)
 中国計 5,783( 70.6%) 29,124( 55.2%)
 輸出計 8,220( 79.1%) 40,080( 58.9%)
 中国比 70.4% 72.7%
 [PVC-H]
 中国 29,742( 62.9%) 188,743( 90.4%)
 香港 7,902( 81.4%) 46,130( 86.3%)
 中国計 37,644( 66.1%) 234,873( 89.5%)
 輸出計 47,966( 66.4%) 287,050( 87.2%)
 中国比 78.5% 81.1%