2004年07月08日
ANの中国の輸入価格、7月もスティ
トン1,000ドル前後で長期安定状態が続く
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ

 中国によるAN(アクリロニトリル)の輸入価格は、7月もCFRトン当たり1,000ドル前後となることがほぼ確定した。大口ユーザー向けの場合で980ドル、中・小口需要家向けで1,020ドルというのが平均値となる模様。

 このままいくと、中国のANの輸入価格は今年3月以降5ヶ月にわたってほとんど同じレベルで推移することになる。汎用石油化学製品の中では、極めてめずらしいケースといえる。

 中国におけるANの需要は繊維向けを中心に引き続き順調に拡大している。AN繊維の価格もこの半年でトン当たり200ドル上がって現在は1,700ドル平均となっている。それにもかかわらず7月のANの輸入価格が据え置きとなったのは、3月以降世界各地で集中的に実施されてきたAN設備の定期修理が一段落したことで、中国のANの需要家の間にANの需給バランスに余裕が生じるとの観測が広がって日本や韓国などのANメーカーに輸出価格の引き下げを求めるところが相次いだためと見られる。

 しかし実際の需給バランスは、需要の拡大によって引き続きタイトなままとなっているためAN各社とも中国側の要求を強く押し返し、その結果が長期にわたる価格の安定となって現れているというわけ。

 ただし、原料プロピレンの価格が再び上昇傾向にあるので、旭化成ケミカルズ等のANメーカーの間には8月の対中輸出価格の引き上げが必要になるとの見方が広がっている。