2004年07月13日
BZの異常高騰でPSジャパンも減産へ
8〜9月に設備能力比15〜20%カット
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:PSジャパン、旭化成、旭化成ケミカルズ、三菱化学

 ポリスチレン(PS)最大手のPSジャパンは、当面の8月と9月の2ヶ月間、同樹脂の減産を実施することになった。減産率は、総設備能力対比で15〜20%の間となりそう。

 同樹脂の需要はここにきて内外とも回復傾向をたどりつつあり、6月の総出荷数量は前年同月を14%上回って今年に入っての月単位の最大規模となっている。それにもかかわらずトップメーカーのPSジャパンが減産に踏み切ることにしたのは「原料スチレンモノマーがベンゼンの急騰によってあまりにも高値となったため購入量を減らさざるを得なくなったから」(荒浪淳・PSジャパン社長)という。

 ベンゼン(BZ)の価格は、今年に入って各地で急騰している。国際相場の指標である米国のコントラクト・プライス(USCP)を例にとると、今年1月にガロン当たり171.5セント(トン当たり514.5ドル)であったのが2月に198セント(594ドル)、3月に200セント(600ドル)、4月に235セント(705ドル)--と月を追って上昇、5月に一服したあと6月には一気に260セント(780ドル)まで跳ね上がり、そして7月早々には遂に307セント(921ドル)という未曾有の高値に達して現在にいたっている。

 このため、BZを主原料とするスチレンモノマー(SM)メーカーやフェノール(PH)メーカーの間では、製品の価格修正に乗り出すとともにBZの購入量の削減、すなわち各製品の減産にも踏み切るところが世界各地で相次ぐ事態となっている。わが国でも、旭化成ケミカルズ、三菱化学、日本スチレンモノマーなどSMメーカーが7月から減産に踏み切っている。

 今回のPSジャパンの措置は、こうした異常とも言えるBZの急騰に伴って顕在化してきた原料事情の急変に対応するためのもので、これに伴いPS全体の需給バランスがタイト化するのは必至と見られる。