2004年07月14日
三井化学、フェノールとアニリン第3次値上げへ
ベンゼンの続騰に対処、輸出価格も再修正
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は14日、ベンゼン(BZ)の続騰に対処してフェノール(PH)とアニリンの国内価格を7月26日出荷分からさらに引き上げざるを得なくなったと発表した。上げ幅は、PHがキログラム当たり15円、アニリンが同18円。ともに、今年に入ってから3度目の値上げとなる。
 
 過去2回の値上げ(2月と7月)はBZとナフサの両方の高騰に対応してのものであったが、今回は専らBZの続騰分を製品価格に転嫁することを目的としている。
 同社では、BZの国際価格の指標となる米国のコントラクト・プライス(US・CP)の7〜9月期の平均が4〜6月期の平均のガロン当たり230セントから320セント(トン当たり960ドル)へとさらに上昇するのが必至であり、このため同社のBZの入手価格は現在のキログラム78円から同93円に引き上げられるのが避けられなくなってきたと説明している。つまり、BZの入手価格がさらにキログラム15円引き上げられるのが確実となってきたので、採算確保のため再上昇分をそのまま製品価格に転嫁せざるを得なくなったというのが同社の説明である。
 
同社が3Qの入手BZ価格が93円に再騰すると予想しているのは、6月に260セントに急騰したのに続いて7月にはさらに307セントへと記録的な上昇を遂げたUS・CPが8月に入ってもなお騰勢をたどって360セントまで上がり、続く9月は300セントに反落する公算が濃厚なものの、7〜9月通期では320セントという未曾有の高値に達すると判断してのもの。一方のナフサの価格についてはキロリットル当たり3万1,000円と予想、上昇幅が500円程度で済みそうなのでPHのコストに及ぼす影響は極めて小さいと見ている。
 アニリンの上げ幅を18円としたのは、BZの高騰分の15円に加えて、前回の値上げで未達成のままとなっている3円を上乗せすることにしたためと説明している。
 
 同社では、国内価格に加えて輸出価格も再修正する計画。現在のアジア地域の平均価格はPHがCFRトン当たり1150〜1180ドルとなっているが、同社では8月初旬の船積み分から1240ドルに再値上げする。アニリンについては、現在の1080ドル前後の価格を1100〜1200ドルに引き上げることにしている。いずれもアジア地域全体の需給が極めてタイトな状況にあるので、実現は確実と見られる。
なお三井化学では、BZの高騰に対する措置の一つとして購入量の一部削減による減産も検討中。実施する場合は15%程度の減産となりそう。