2004年07月14日 |
SMのアジア地域の需給が一段と逼迫 |
日本各社の減産に加え韓国で大型設備が運休 |
【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:BASF、旭化成、旭化成ケミカルズ、三菱化学 |
スチレンモノマー(SM)の国内ならびにアジア全域における需給が一段と逼迫してきた。ベンゼンの高騰に対処してのわが国のSMメーカーの相次ぐ減産、落雷による一部SMメーカーの操業休止、韓国のSMメーカーのプラントトラブルによる大型設備の運休--といったいくつかの要因が重なって供給力が一気に縮小したことによる。 このうちのわが国SMメーカーによる減産は、原料ベンゼン(BZ)の急騰に対する緊急措置の一つとして採算割れを回避するためBZの購入量の削減に踏み切るところが相次ぐようになってきたことに伴うもの。6月以降、旭化成ケミカルズ(設備能力は年78万トン)、三菱化学(同38万トン)、日本スチレンモノマー(同23万トン)の各社がそれぞれ10%から15%前後の率の減産に踏み切っている。 一方の落雷によって操業休止を余儀なくされているのは出光石油化学。8日と10日の2度にわたって徳山工場内の送電線に落雷を受けたことから年産34万トンのSMプラントが操業休止に追い込まれている。操業再開は18日となる見込みで、これに伴い1万トン弱の減産が避けられなくなっている。 加えて事態を一層深刻にしつつあるのが韓国・BASFのプラントトラブルだ。9日に発生したクーリングタワーの事故と運休によって年34万トン能力のSMプラントも急遽運休を余儀なくされている。同社はフォースマジュールを宣言して関係各社に応援を求めているが、世界全体が極端な品不足状態にあるため打開の方策を見出せないでいる模様。稼動再開は来週末となる見通し。 SMの需要は、工業全体が急速な発展を遂げつつある中国をはじめとしたアジア全域で拡大傾向が続いており、このため、はからずも集中的に発生するかたちとなった極東地域における供給量の大幅削減によって現在の市場はパニックに近い状態に陥っていると言える。アジア地域のSMの相場もトン当たり1200ドルに達している。BZの高騰がなお継続するようだと、減産にさらに拍車がかかることもあり得るだけに混迷がさらに深まる可能性が高い。 |