2004年07月23日
可塑剤3物質の内分泌かく乱作用にも問題なしと結論
経産省の試験結果を化学物質審議会の専門部会が承認
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:環境省、経済産業省

 化学物質審議会の管理部会・審査部会は22日、内分泌かく乱作用検討小委員会を開催、フタル酸ジシクロヘキシルなど可塑剤3物質の有害性評価書に関する経済産業省の新たな試験結果内容を審議し承認した。
 経産省が同日の部会で説明した内容は、2点に大別できる。すなわち(1)フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ブチルベンジル--の3物質についてレセプター結合に関するin vitro試験を実施した結果、いずれも結合能力あるいは作用強度が極めて弱いことが確認できた(2)同じ3物質についてラットを用いた2世代繁殖試験を実施したところ、生殖系や仔世代への有害な影響は見られなかった--の2点である。
 このうちの(1)については、結合能力や作用強度が天然のホルモンや合成リガンドの480分の1〜200万分の1にすぎいないことが判明したと説明した。(2)の項目については、フタル酸ジエチルの場合、体重1キログラム当たり1グラムの投与量でも有害な影響が見られなかったと報告した。また、フタル酸ジシクロヘキシルもフタル酸ブチルベンジルも、親世代への最小影響量と仔世代への最小影響量がともに体重1キログラム当たり約0.1グラムであることがわかったとも説明した。
 
 同省では、こうした結果から判断してこれら3物質に関する既存の有害性評価書を改訂すべきと主張、同委員会ではこの点も承認した。これに伴い、環境省が「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」にリストアップした合計65の化学物質のうちわが国での生産や使用の実態がない物質や農薬登録等の対策が進められている物質を除いた残り15の物質の中の8物質について有害性評価書が改訂されることになった。
 
 またこの日同省では同省委員会の席上、これら3物質の暴露量からみた評価についても「日常生活で摂取することが予想される量は、当該世代および次世代の生殖器系や生殖能力等に影響を及ぼす可能性のある摂取量の100万分の1以下であると推定される」との見解を明らかにした。