2004年08月05日
中国の樹脂輸入、日本品はシェアが一段と低下の傾向
サウジ、マレーシア、タイ等の新興勢力が上位に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 中国による汎用樹脂の輸入は引き続き活発だが、日本品は他の国ほど大きな伸びとなっておらず、このため全体に占めるシェアが一段と低下する傾向が鮮明になってきている。
 
 今年6月の日本品のランクは、PVCこそ台湾に次ぐ第2位となっているが、他の樹脂はHP-LDPEとPSがともに第5位、L-LDPEとPPがいずれも第6位、HDPEが第10位--と全て低位にとどまっている。1月から6月までの累計でも上位を占めているのはPVCの第2位だけ。あとは、PSが第5位、HP-LDPEとPPが第6位、L-LDPEとHDPEは第8位--に低迷している。
 5年前の99年計のランクは、PVCが第1位で、LDPE(当時はHP-LDPEとL-LDPEが同じ枠)、HDPE、PPがいずれも第2位、PSが第3位であった。全てがベスト3以内にあったわけ。それが年を追って軒並み後退を余儀なくされ、いまではPVCを除く全ての樹脂が競合諸国の後塵を拝する事態となっている。
 もっとも、この数ヶ月は、多くの樹脂メーカーが予想以上に増えてきた内需に優先的に対応するため対中輸出を絞るようにしている面はある。しかし商社筋の多くは、それ以上に大きな要因は、価格競争力を武器とするサウジアラビア、シンガポール、タイ、マレーシア、クウェート--といった新興勢力の追い上げに対して有力な対抗手段を見出せないできている点にあると指摘する向きが多い。かつて強力なコンペティターであった韓国は、HDPEとPPでいまでも第1位を維持、また台湾もPSとPVCでいまだに第1位をキープしている。しかも他の樹脂でもともに上位を確保しているだけに日本の後退が特に目を引く。このままいくと、中東各国が大幅増設を続け、中国自身が自給力を飛躍的に高めていこうとしている中で日本の樹脂メーカーは一段と厳しい局面に立たされることになりそう。