2004年08月06日 |
旭化成ケミ、ANの輸出価格を引き上げ |
8月の船積み分をCFRトン1,200ドルに |
【カテゴリー】:市況 【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ |
旭化成ケミカルズはAN(アクリロニトリル)の輸出価格(CFR)を最低でもトン当り1,200ドルに引き上げることにして中国をはじめとしたアジア各国の需要家各社に通告し、説得を開始した。8月の船積み分から適用する。 同社のANのこれまでの輸出価格は、同1,050〜1,100ドルであった。したがって今回の上げ幅はおおむね150ドルということになる。 値上げの理由については、原料プロピレンとアンモニアの価格の急騰を挙げている。プロピレンの価格はナフサ価格の急上昇に伴って世界全域でこの一ヶ月でトン当たり約100ドル上がっており、また国内でも7〜9月期分は4〜6月期分に続いてナフサ1キロリットル2,000円見合いの上昇が必至の見通しとなっている。同社のANの生産拠点は水島、川崎、韓国(子会社・東西石油化学の麗川工場)の3箇所で構成されているが、うち川崎と韓国・麗川の両拠点では必要なプロピレンを外部から購入しているので最近のANの高騰は同社に取って一層大きな負担増となっている。 一方のアンモニアの価格もこの1ヶ月で著しい上昇を遂げている。直近のアジア相場はトン当たり330ドルで、7月の平均に比べると70ドルものアップとなっている。ANの原単位は0.5なのでこの分のコストアップはトン35ドルとなる。 今回の輸出価格の引き上げは、こうした原料のコストアップ分をそのまま製品価格に転嫁することを目標としたもの。現在の需給バランスは一段と逼迫の度合いを強めている。需要がアクリル繊維分野でもABS樹脂分野でもアジア全域で好調が持続している一方で、供給量が原料高に音を上げた大手ANメーカーの相次ぐ生産調整によって縮小傾向にあるからだ。このため、新価格が市場に浸透していく環境条件は整っているといえる。 |