2004年08月16日
旭化成ケミカルズ、ANも国内外で減産を開始
C3高騰に対処、東西石化は操業率を85%に
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズは、プロピレンの高騰に対応して国内外でAN(アクリロニトリル)の減産を開始した。
 フル稼働を続けてきた韓国の子会社「東西石油化学」の操業率を85%に落とすとともに、自社の川崎工場の稼働率も92〜93%に引き下げている。
 同社のANの生産拠点は川崎(年産能力15万トン)、水島(同25万トン)、麗川(同27万トン)の3地区にまたがっており、合計の生産能力は同67万トンで、アジアでは最大、世界ではBPに次ぐ2番目の規模となっている。今回、これら3拠点のうちの韓国と川崎の両拠点で減産を実施することにしたのは、両工場とも原料プロピレンを全て外部からの購入で賄っており、そのプロピレンの価格が7月以降高騰していて採算の確保がともに困難となってきたからと同社では説明している。
 アジア地域におけるプロピレンの価格は、6月末までトン当たり700ドル前後であったのが7月に入ってから週を追って上昇、先週の平均は850ドルとなっている。これに対してアジア地域のANの相場はこの2ヶ月あまり同1,050ドル前後のまま推移していて、このため両拠点とも採算が急速に悪化、従来の稼働率を維持していくと赤字転落が避けられなくなってきたことから原料の購入カットに踏み切らざるを得なくなったという。
 一方同社では、輸出価格を同100〜150ドル上げてCFR1,200ドルに改めるべくアジア各国のユーザーと交渉してもいるところ。需給のバランスは極めてタイトなので、遠からず全てのユーザーの同意を得られると見られている。しかし、最近のプロピレン価格は世界各地でなお上昇傾向をたどっているので、場合によっては東西石化で系列停止することもありそう。
 なお同社では、原料ベンゼンの高騰に対処してすでにSM(スチレンモノマー)の減産を実施中。