2004年08月25日 |
NECと日本化薬、新規がん治療薬候補物質選択に成功 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:NEC、日本化薬 |
NEC、日本化薬の両社は25日、標的たんぱく質と化合物の結合構造と結合能をコンピュータシミュレーションにより予測する「in silico (イン・シリコ)創薬」スクリーニングシステムのプロトタイプを開発し、約140万種の化合物ライブラリから、新規がん治療薬の候補化合物を発見することに成功したと発表した。 今回の共同研究により、以下の成果が得られた。 (1)溶媒中のたんぱく質と化合物の結合予測を高速・高精度に行うために、溶媒効果を表すポアソン・ボルツマン(Poisson-Boltzmann)方程式を、分子動力学法と融合させたMM-PB(Molecular Mechanics-Poisson Boltzmann)法を開発し、PCクラスターなどの並列コンピュータ上で高速に計算するソフトウェアを開発。 (2)本ソフトウェアと、市販の自動ドッキングソフトウェアとを組み合わせ、多数(数百万)の化合物について、標的たんぱく質と化合物の結合構造と結合能(結合の強さ)を予測するin silico創薬スクリーニングシステムのプロトタイプを開発。 (3)本システムを用いて、共同でin silicoスクリーニングを行い、約140万化合物の中から絞り込んだ数百化合物について、実験によりその結合を評価し(作業継続中)、現在約10個程度の化合物について、標的たんぱく質との結合を確認。 共同研究は、NECが独自に開発したシミュレーション技術と日本化薬の抗がん剤創薬技術に基づき、in silico創薬支援システムを共同で構築し、実際の新規がん治療薬の探索を共同で行ったもので、多数の候補物質の中から、有効と思われる物質(化合物)を効率良く選択することを目指した。 日本化薬は今後、この新規化合物の構造最適化と薬効評価を進め、臨床応用に向けてその効果と安全性を確認していく。今回のシステムを、今後の創薬研究のためのIT基盤と位置付け、自社の創薬研究に活用する予定。またNECは、製薬企業向けのin silico創薬支援システムにおける中核技術の一つとして活用し、来年度の製品化および事業化を目指す。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/cgi-bin/fax/search.cgi?CODE=2524 |