2004年08月26日
三井化学、PTAの対中輸出価格を引き上げへ
PXの高騰に対処、9月積みをトンCFR880ドルに
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は26日、PTA(高純度テレフタール酸)の9月の対中国向け輸出価格を8月比トン当たり85ドル引き上げることにしたと発表した。CFR価格を880ドルに改める。4ヶ月振りの修正となる。
 
 今回同社が対中輸出価格の是正に踏み切ることにしたのは、原料PX(パラキシレン)の9月の価格が8月比トン当たり90ドル高の890ドルへと大幅に引き上げられることが決まったため。9月のPXの価格を昨年第3・四半期〜第4・四半期に比べると320ドル高となる。ただし、この2〜3ヶ月は上げ幅が比較的小幅にとどまっており、しかも最大消費先である中国の需要家各社がポリエステル繊維の不需要期に入りに合わせて原料PTAの価格の据え置きを強くサプライヤー各国に求めてきたことから同社ではこの3ヶ月は輸出価格の引き上げを見送ってきた。しかし今回はPXの上げ幅がこれまでになく大きく、合理化努力で吸収できる範囲を大幅に超えているため、アップ分を輸出価格に転嫁せざるを得なくなったと同社では説明している。
 
 中国におけるPTAの最近の需要は、9月がポリエステル繊維の冬物の需要期入りとあって急速に回復しつつある。日本など海外からの輸入量も前年を20%以上上回るペースとなっている。それに対する供給力は世界全体で新・増設が途絶えたままきているため需要量を下回る状況にある。
 つまり、需給のバランスが再び急速に逼迫し始めているわけで、これに伴い価格もこの3週間で急上昇、直近のポリエステルチップの価格は史上最高値の1万1,000元まで上がっている。3週間で1,000元上昇したことになる。トン当たりの現在のドル単位の価格はおよそ1,100ドルということになる。
 今後の価格も、需要家の間にPXやPTAの需給逼迫観と先高観が広がっているのでチップからステープルさらには長繊維にいたるまで軒並み続騰となる公算が濃厚というのが関係者に共通した見方となっている。