2004年08月26日
三菱レイヨン、MMAとMAAの再値上げを表明
メタクリル酸高級エステル類も再是正へ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは26日、MMA(メチルメタクリレート)モノマーとMAA(メタクリル酸)の国内価格を9月1日出荷分からキログラム当たり20円引き上げると発表した。いずれも今年4〜5月に実施した同25円の値上げに続く第2次の価格修正となる。
 
 今回の値上げも、前回同様に各種原料価格の高騰に対応してのもの。この春以降は、原油の高騰に伴ってナフサ価格が依然として上昇を続けているのに加えてベンゼンの急騰に歩調を合わせてアセトンも大幅な値上がりを続けており、このため最近は両製品とも採算の維持が困難になっているという。
 こうした同社にとっての救いは、両製品とも需要が予想以上に活発で需給バランスが一段とタイトになってきている点だ。同社によると、MMAモノマーの需要はIT関連のホモポリマー向けや透明ABS樹脂ならびにMS樹脂向けを中心に、またMAAの需要はラテックスやコンクリート減水剤向けを中心にそれぞれ当初の予想を上回るペースで拡大している。対する供給能力は業界全体に新・増設が途絶えたままなので従来と変わっておらず、このため全体に需給逼迫度がこれまで以上に進んできている。
 最近は、トップメーカーの同社でも適正在庫を維持できなくなっており、輸出を極力抑制して急場を凌いでいるという。現在の在庫規模は、MMAモノマーを例にとると適正レベルと言える2万5,000トンを大きく下回って1万7,000トンまで縮小しているとのこと。
 需要は国内にとどまらずアジア地域でも順調に拡大、日本同様に需給のタイト化が進んできた欧米からの製品の流入が激減してきたこともあって同地域の需給バランスも急速に逼迫してきている。これに伴い最近のアジア市況は、今年1月よりトン当たり200ドル高い1,800ドル前後まで上がっている。
 
 今後も需給バランスは国の内外とも一層タイトになると見られている。9月以降に三菱レイヨンなどによる大型定修が内外で相次ぐ見通しにあるからだ。
 
 同社では、こうした事態も視野に入れて関連製品の一つのメタクリル酸高級エステル類の国内価格も同じく9月1日から再修正することにしている。上げ幅は、品種によってかなり異なりキロ20〜30円となる。同製品の場合も需要が塗料向けを中心に活発で、このため需給は極めてタイトな状態にあり、同社では輸出のスポット契約を見送っているという。