2004年09月02日
三井化学のPHの第3次値上げ交渉が決着
2段階合計でキロ26円アップ、アニリンも29円上げ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学が大手需要家との間で進めていたフェノール(PH)の第3次値上げ交渉が31日に決着した。上げ幅は、8月1日から31日までの間の出荷分がキログラム15円、9月1日以降の出荷分が同11円。合計では26円となる。

 当初同社では、7月26日出荷分から同26円引き上げたい考えであった。しかし、大手フェノール樹脂メーカーを中心とした大口需要家各社がが、上げ幅が大きいことと今回の値上げが今年に入ってすでに3回目となることなどを理由に実施時期を再考するよう強く求めてきたことから時期を若干ずらした2段階値上げ方式に改めることにして最終決着に持っていったもの。

 この結果、同社によるPHの国内向け価格は3回ト-タルで同56円引き上げられたことになる。いずれも、原料ベンゼンとナフサの急騰に対処して実施されたもの。特に大きな要因となったのはベンゼンの高騰で、今年1~3月期にガロンあたり200セント弱であった米国のコントラクトプライスはその後月を追うように急騰して8月には385セントに達してPHやSMなど誘導品のコストを大きく押し上げるにいたっている。加えてナフサ価格も同様に急上昇、今年第1・四半期にキロリットル2万7,000円であったのが第3・四半期には3万1,000円にアップする見通しにある。

 こうした原料事情については需要家各社とも十分理解しており、加えて最近はPH系誘導品の需要の予想以上の拡大によってPHの需給が全世界的に極度に逼迫してきた点について危機感を強めてもいる。このため、各社とも当面は必要原料の安定確保を最優先せざるを得ないとの考えを強めており、これが今回の交渉でもサプライヤーサイドに有利に働いたということができる。

 もっとも、三井化学ではPHの一連の価格修正はあくまでも原料の高騰分の転嫁にすぎず、採算は引き続き厳しい状況にあるという。したがって、9月のベンゼンのUSCPがガロンあたり395セントにあがったことやナフサがキロリットル3万5,000円に続騰となる公算が強いことなどの点からいって、第4次値上げの必要が早晩出てくると述べている。

 同社では、今回のPHの値上げに平行してアニリンの価格修正にも取り組んできたが、同製品の場合も満額決着となった。8月1日出荷分からキロ29円値上げすることでユーザー各社の同意を得ている。今年に入ってからの上げ幅は計63円となる。