2004年09月09日
旭硝子財団、環境に関する最新のアンケート結果を発表
欧米では環境危機意識が一段と高まる
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:旭硝子

 財団法人旭硝子財団は9日、同社が世界各地の環境問題に携わる有識者を対象に実施した「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の調査結果を発表した。

 このアンケート調査は平成4年いらい同社が毎年実施してきたもので、今回が13回目。今回は、国内から324人、海外95カ国から479人の合計803人から回答を得た。回答率は22.2%であった。

 テーマは(1)環境問題に関連しての人類存続の危機に関する認識度(いわゆる環境時計)(2)「アジェンダ21」の進捗状況についての見解(3)人口増加問題についての意見(4)経済成長と環境保全の両立に関する見解(5)地球温暖化問題に関する認識(6)オゾン問題に対する意見--の6項目。

 このうちの(1)の環境危機意識については、時計の針の動きで表現すると、世界全体では前回(昨年)の9時15分(少し不安)から9時08分(あまり不安がない)に戻っているとの調査結果になったと説明している。ただし、国によって意識に違いがあり、北米は11分、西欧は4分それぞれ針が進んでいるという。つまり危機意識が若干強まっているというわけで、この点について(財)地球環境戦略研究機関の森島昭夫理事長は「地球温暖化が既に始まっているとの認識が広まってきたせいではないか」と解説、そして日本の回答者の多くが前回の9時20分から今回は9時06分に戻っていると答えていることについては「事態が改善されているわけではないのでふしぎ」と疑問を呈している。

 国によって調査結果に大きな差異が生じたもう一つのテーマは(4)の経済成長と環境保全の両立が可能かどうかとの問いかけであった。日本および途上地域のアジアやアフリカからの回答は「両立が可能」とするものが60%を超えたが、北米や西欧やオセアニアからの回答は「両立が困難」とするものが過半を占めた。両立が困難とする意見の中には、従来の成長ベースを維持しようとすると環境保全はできない」とするものが多かったという。

また、(5)地球温暖化問題についても、先進地域では55%が「きわめて危惧する」と見ているが途上地域ではその比率が34%と低いなどばらつきのある結果となった。