2004年09月13日
ANの輸出価格、1,300〜1,350ドルに上昇
アクリル繊維とABSの需要の好調が追い風
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズなどわが国のAN(アクリロニトリル)メーカーによると、AN各社が中国を中心としたアジア諸国のユーザーを対象に打ち出していたANの9月分の値上げ表明が各地の需要家に相次いで受け入れられはじめた。
 直近の中国向けCFR価格は、トン当たり1,300ドル強となっており、中には1,350ドルでの成約も見られるようになってきている。8月の平均価格に比べると平均150ドル高くなっている。
 
 これは、旭化成ケミカルズなどわが国のANメーカー各社が原料プロピレンの続騰に対処して打ち出した値上げ要求を中国等の需要家やトレーダーの多くが容認しはじめたことによるもの。最近におけるプロピレンのアジア地域のCFR価格は、極東地域が平均トン当たり1,100ドル、東南アジア地域が同1,200ドルとなっている。8月下旬の平均を同150ドル、同月前半の平均を同300ドル上回るレベルである。7月の平均に比べると同400ドルもの上昇となる。
 最近のわが国のAN各社の輸出価格の引き上げ要求はこうした原料事情の大きな変化を背景に打ち出されたものだが、これが受け入れられるようになってきたのは、中国におけるアクリル繊維とABS樹脂の需要がここにきて一段と活発になってきたのに伴いANの需給がこれまで以上にタイト化してきたことが大きく作用していると見られる。