2004年09月15日
ペクセル社、高出力フィルム型DSCを開発
昭和電工と電極用ペーストの開発・生産で提携
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:昭和電工

 色素増感型太陽電池(DSC)の関連技術の開発を目的に今年3月に桐蔭学園や昭和電工などによって設立された大学ベンチャーの「ペクセル・テクノロジーズ社」は15日、高出力のフィルム型携帯色素太陽電池の開発に成功したと発表した。また、これに関連して同社と昭和電工の両社は、同電池や従来のガラス型色素太陽電池の心臓部となる電極用酸化チタンペーストの開発と生産の両面で提携していくことで合意した点も合わせて発表した。
 
 今回ペクセル社が開発したDSCは、PET系フィルムと酸化チタン微粉とを組み合わせた軽量・薄型(名刺サイズだと重さは2.5g、厚みは400μm)でフレキシブルタイプの製品。携帯が可能な点、出力が高い点、コストが安い点などが大きな特徴という。出力については、室内照明の下でも3.5V以上(蛍光灯直下では4V以上)、太陽光下では4.2V・0.1A以上を実現できる点を確認済みだとしている。リチウムイオン電池と同等の高出力を発揮できるというわけで、このレベルまで到達できたフィルム型DSCは世界でも例がないと説明している。コストはシリコン型の10分の1とのこと。
 用途としては(1)携帯電話やPDA等の携帯端末の電源市場(2)ハウスエクステリア。インテリア市場(3)各社ウディスプレー、自動車、農業、環境関連市場--等が期待できるとしている。ペクセルでは、先ずは携帯電源として活用が始まると想定、国内の携帯端末ユーザーの10%が利用した場合約200億円の市場規模になると推定している。同社では06年初頭にサンプル出荷を開始する計画。本格企業化の計画はまだ未定。
 
 一方、同社と昭和電工との提携の合意内容は(1)ペクセル社は、昭電の酸化チタン微粉を使用して開発したDSC電極用酸化チタンペーストに関する特許・技術を昭電に供与する(2)昭電は、同ペーストの生産・販売を他の電池メーカーにも実施する(3)これまで独自に進めていたペーストの開発を両社が一体となって展開していくことで開発の効率化・スピードアップを図るとともに、量産体制の構築でコストダウンを実現する--の3点。
 昭和電工の酸化チタン微粉は(1)多くの色素担持を実現できる(2)高い電子伝導性を有する(3)良好な電解質拡散を実現する--等の特徴を持ち、セラミックスコンデンサーをはじめとした先端技術分野で順調な成長を遂げている。ペクセルとの提携で狙い通りの成果を上げると、新たに次世代型太陽電池分野にも基盤を構築できることになる。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/0915sdk.doc