2004年09月16日 |
新日鐵化学 シーケム「世界最強のタール会社」目指す |
堺工場の無水フタル酸設備休止へ |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:新日鐵化学 |
新日鐵化学(NSCC)は10月1日付で、エア・ウォーター・ケミカル(AWC)とタール事業統合の新会社「株式会社シーケム」を設立するが、16日、事業計画の概要を発表した。最適生産販売体制の構築、製品ラインアップの充実などにより、欧米の大規模メーカーと比肩する「世界最強のタール事業会社」を目指す。 NSCCは新日鐵グループ、AWCは住友金属で得られるコールタールを原料として多くの石炭化学製品を産出してきたが、200万トンを超えていた国内タールソースは、都市ガス源の転換などから、現在では160万トンにまで減少している。このため両社は競争力強化のためには、タール成分の徹底した有効活用と、設備の集約が必要と判断し、今回の共同事業化となった。 事業強化への取り組みは大規模かつ大胆といえるもので、概要は以下の通りとなっている。 (1) タール蒸留拠点の統合 NSCC、AWC2社のタール蒸留量年間約76万トン(平成15年)に対し、現状、両社は、北九州、姫路、和歌山、鹿嶋の4拠点に94万トン/年の蒸留能力を保有している。コスト競争力向上のため、和歌山のタール蒸留設備はシーケムに承継せず(11月休止予定)、シーケムは、3蒸留拠点、年間蒸留能力約83万トン体制でスタートする。 (2) 無水フタル酸生産拠点の統合 無水フタル酸は、国内の需給ギャップの拡大が続くなかで、原料価格の高騰により、事業環境が厳しくなっている。現在NSCCは、タール軽質分の主要製品であるナフタリンを原料に、堺フタル酸工場(年産能力3万5千トン)および九州製造所タールケミカル工場(同4万5千トン)の2拠点で製造しているが、シーケムは、競争力優位にある九州製造所の設備のみを承継、堺の無水フタル酸設備は来年6月末をもって設備休止する。 これによりシーケムは、ナフタリンとその誘導品である無水フタル酸について、その事業基盤がさらに強固なものとなる。 (3) タールファイン製品販売機能の集約 タールからの精密蒸留品(タールファイン製品)は、従来からNSCC、AWCの両社がその事業強化に共同で取り組んできたが、AWCのファインケミカル事業と連関性が高いため、シーケムは今後、生産に特化し、販売はAWCに集約する。 これによりシーケムは、販売・物流体制の合理化を計り、AWCとタールファイン事業の情報・戦略を共有化することで、より的確な市場対応を進めていく。 【新会社の概要】 (1)社 名:株式会社シーケム(英文名:C-Chem Co.,Ltd.) (2)設 立:平成16年10月1日(共同新設分割による) (3)資 本 金:3億円 (4)株 主:NSCC 65%、AWC 35% (5)本 社:東京都品川区西五反田7丁目21番11号 (6)代 表 者:見越 和宏 (現 NSCC 取締役シニアエグゼクティブオフィサー コールケミカル事業部長) (7)生産能力:タール蒸留能力 約83万トン/年(平成15年実績蒸留量 76万トン) (8)生産拠点:九州工場、広畑工場、鹿島工場 (9)売上規模:約300億円 (10)事業内容:・コールタール分留物(ナフタリン類、タールファイン製品等)の製造および販売・コールタールを原料とする炭素材料(ピッチコークス、ピッチ、カーボンブラック原料油等)の製造および販売・無水フタル酸の製造および販売 (11)従 業 員:約125名 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/cgi-bin/fax/search.cgi?CODE=2628 |