2004年09月28日
旭硝子、世界初 高温・超耐久の燃料電池用フッ素系MEA開発
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭硝子

 旭硝子は28日、固体高分子形燃料電池(PEFC)の核となるMEA(膜・電極接合体)の高温耐久性を大幅に高めることに成功したと発表した。新開発のMEAは、新しい化学構造を有するフッ素系プロトン導電性ポリマーコンポジットからなり、120℃の高温環境下における劣化率を従来の1/100から1/1000に抑制し、フッ素系MEAでは世界で初めて、2000時間以上の連続運転を可能とした。
 
 これにより、高温・低加湿という過酷な操作条件が求められる、自動車用の固体高分子形燃料電池にも対応可能な超耐久性MEAに対して、安定性に優れたフッ素系プロトン導電性ポリマーが適用できるめどを得た。
 
 固体高分子形燃料電池システムは、二酸化炭素や煤を排出しない次世代の高効率クリーンエネルギーシステムとして注目されており、2010年の市場規模は、家庭用定置型で数百億円、自動車用では一千億円超といわれている。
 
 ただ定置型家庭用燃料電池コージェネレーションシステムは、すでに複数のメーカーが2005年度から販売を予定しているが、自動車用はより過酷な条件下での耐久性が要求されるため、本格的な実用化にはなお課題を抱えている。
 
 旭硝子は今後、複数の自動車メーカーにMEAサンプルを提供し評価を依頼する。さらに実用面の問題点を解決し、モノマー合成やポリマー重合技術について、コスト低減、量産技術を確立し、数年以内に燃料電池用MEAの事業化を目指すとしている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/0928asahig.pdf