2004年10月06日
三井化学、シールドフィルムの本格受注活動を開始
高層新ビルの窓への採用が相次いでスタート
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、独自の技術で開発した透明電磁波シールドフィルム(商品名・スマートシールドフィルム)の本格的な受注活動を開始した。
 これまでは、同社機能化学品事業グループ情報材料事業部が製造から市場開拓に至るまでの全てを手がけてきたが、9月からは、製造と品質改良を情報材料事業部が担当、一方の販売を同社機能加工品事業部が系列企業の一つの三井化学産資の流通経路を活用しながら進めていくという新たな態勢で事業の本格展開をスタートさせたもの。インテリジェントビルやオフィスビルの窓向けを中心に需要を開拓していく。

 「スマートシールドフィルム」は、(1)無線LANで使用される電波や、携帯電話あるいは電波塔などから発生する電磁波に対して優れたシールド能を発揮するので情報セキュリティーの確保に大きく寄与できること(2)赤外反射効率が高いため省エネにも十分貢献できること(3)可視光透過率が高いので明るく快適な居住性を保持できること--の3点を大きな特徴とする高機能多層フィルム。PETをベースに同社独自のスパッタ法で製品化したもので、厚みは50〜75ミクロン、幅は最大1200ミリ。ロール形態で納入していく。
 
 現在同社がラインアップしているのは、電磁波シールド能30デシベル・可視光透過率82%の「SSF-3082」、同32デシベル・同72%の「SSF-3272」、同42デシベル・同72%の「SSF-4270」--の3品種。ここまで高い電磁波シールド能と可視光透過率を両立させた製品は海外でもまだないとのこと。
 こうした点が注目されて、最近は大手ゼネコンからの引き合いが活発化、同時に、新高層ビルの窓向けを中心に採用実績も各地で着実に増えてきているという。また、自動車メーカーや板ガラスメーカーの間でも関心が広がっており、欧州と同様に将来は自動車の窓に熱反射用として大々的に採用される可能性も出てきている。同社では、当面の年間販売目標量として07年度50〜60万平方メートルを掲げていく。