2004年10月07日
日本ゼオンが半導体、液晶パネル用の低誘電率膜を開発
率2.2で、今後1.6〜1.7をめざす「ZEOMAC」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:日本ゼオン

 5倍以上の速度でデータが処理できる能力を持ち、半導体の消費電力が半分以下になるという低誘電率層間絶縁膜(LOW-K)「ZEOMAC」が世界で初めて開発された。日本ゼオンが7日発表したもので、指導した大見忠雄・東北大学教授、未来科学技術共同研究センター長は「次世代半導体と次世代大型液晶パネルを実現する研究開発で、半導体産業を向こう3年で4倍に発展させることができる」と語った。

 また同社は光のゆがみ(歪)を解消し、視野角を拡大する新ゼオノアフィルムの開発にも成功したと発表した。これにより同社では「ZEOMAC」で2007年度に100億円、新ゼオノアフィルムで同500億円の売り上げが見込めるとしている。
 
 また、従来の位相差フィルム(液晶TV画面のズレを補正)に加えて、低複屈折フィルム、縦一軸延伸フィルムの4種も開発(07年度の売り上げ250億円を予想)した。

 ZEOMACはマイクロ波励起高密度プラズマプロセス(ラジカル反応ベースは低温プロセス:500℃ていど)を用いて、低誘電率2.2を実現、データが処理速度が5倍以上(10GHzが可能)となった。またデバイス内配線の消費電力が2分の1となってノイズを抑制できる。さらに空隙がなく緻密な膜で機械的強度がポーラス材料の2倍以上となった。低誘電率2.2は今後1.6〜1.7にしたいとしている。

 絶縁膜の形成工程はアルゴンガスをCVD装置(プラズマ化)に送り、化学的気相成長によって堆積させたうえガスを抜く。このLOW-Kの新材料を用いることにより線幅65nm、45nm、32nmなどの超微細加工が容易になるとしている。

 この新材料はオゾン破壊係数がゼロ、大気寿命が0.98年と小さく地球温暖化が低い。従来のフロロカーボン系化合物の環状C5F8より膜密度が大きく、機械的強度や膜密着性にすぐれている。膜の装置は東京エレクトロンが開発した。
 
 新ゼオノアフィルムは100%子会社、オプテスが開発したもの。特徴は低複屈折性、高い位相差機能の実現と広幅フィルムでの均一な位相差発揮。LCDで使用されている部材削減(保護膜、位相差膜を1枚で兼用。現在の6層を4層に)ができ、プロセス(ロールツーロール化)も簡便化する。

 画面の光漏れによるコントラストの低下も克服できる。ゼオノアフィルムは2002年に溶融押出成形法で製造に成功した。高透明性で低複屈折、低波長分散、低光弾性、低吸湿性、高耐熱性(300℃)などの特徴があり、ガラスに代る可能性もある。

ニュースリリース参照
○低誘電率層間絶縁膜(LOW-K)
http://www.chem-t.com/fax/images/1007zeon1.pdf

○新ゼオノアフィルム
http://www.chem-t.com/fax/images/1007zeon2.pdf