2004年11月04日
「SPEED'98」の改訂版論議が本番へ
環境省案には委員から異論も
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:環境省

 環境省は2日、「環境ホルモン戦略計画SPEED'98改訂ワーキンググループ」の第8回会合を開き、同省が取りまとめた「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針案」を示して各委員の意見を求めた。
 
 同案は、専門家、学識経験者、消費者団体代表で構成される同ワーキンググループに同省が過去2年にわたって委ねてきた「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」の改訂に関する討論の結果をベ−スに取りまとめたもの。表題は"今後の環境省の対応方針"となっているが、実態は同省が1998年に作成して公表した「SPEED'98」の改訂版の事務局案と言える内容。
 
 同案では、今後の取組みの柱として7項目を挙げている。すなわち(1)野生生物・生態系の観察(2)環境中濃度の実態把握及び暴露の測定(3)基盤的研究の推進(4)影響評価のための技術開発(5)リスク評価(6)リスク管理(7)情報提供とリスクコミュニケーション等の推進--の7項目を改訂版のポイントに掲げていきたいとの考えを明らかにしている。
 
 これに対して委員の間からは、「基盤的研究の重要性を強調している点など全体に敬意を表してよい内容」と同省案を高く評価する発言もあったが、「内分泌かく乱作用の定義が明確に示されていないまま対応のあり方を論議するのはおかしい」と疑問を呈する向きや「これまで実施した野生生物の実験結果を紹介するくだりの中で、問題がないとの結論に達した化学物質の紹介が抜け落ちているのは理解できない。やはりきちんと記載すべきだ」といった異論なり注文なりが多数を占めた。
 これを受けて同省では、1週間内に各委員から意見を聞いて修文したうえで19日に再度同ワーキンググループを開いて修正案を諮りたい意向を示した。19日の会合で異論が出なければ、それを最終案として同省が30日に「内分泌攪乱化学物質問題検討会」に報告して討議を求め、そしてパブリックコメントを経て来年3月に最終改訂版に仕上げる考え。
 こうした中では、内分泌かく乱作用問題の行方を大きく左右するといえる化学物質全体に網を広げての整合性に富んだ試験法の確立についてどういった議論が展開されていくかが注目される。