2004年11月10日
アセチル3製品のアジア価格修正がさらに進展
酢エチや酢ビの11月分は1,200ドルとなる公算
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:昭和電工

 アセチル製品のアジア価格の改善が需給の一層の逼迫を背景に11月分についてもさらに進展する見通しとなってきた。原料価格の続騰に対応して酢酸ではBPケミカル、酢酸エチルでは昭和電工、酢酸ビニルではセラニーズ--等が中心となって進めている値上げ交渉が各地のユーザーに受け入れられはじめているもの。
 
 酢酸の場合は、四半期単位で価格が決定される商慣行となっており、現在は第3・四半期分がほぼ決着して第4・四半期分の交渉が進められているところ。第3・四半期分のリストプライスはトン当たり前期の100ドル高の810ドルとなったが、BPなどメーカー各社は第4・四半期分をさらに100ドル引き上げたい考え。一部の国の需要家はすでに受け入れを表明している。合繊原料向けを中心に需要が引き続き活発なのに対して、供給能力が台湾・CPDCや昭和電工の定修もあって不足しているため市況環境が依然として“売り手市場”となっている点がサプライヤー各社に有利に働いている。
 
 酢酸エチルの価格はシップメントベースで決められるが、昭和電工などメーカーの多くは11月の価格を10月よりさらに90ドル引き上げる意向を表明して各地の需要家と折衝に入っている。CFR1,200ドルが目標価格。これに対しては、すでにタイやインドネシアのユーザーが容認して新価格での引取りを開始している。新価格がアジア全体に浸透するのは時間の問題と見られている。この場合も、需要が環境問題に対する市民意識の高まりもあってグラビアインキ向けやドライラミネート向けに急拡大していることがサプライヤー各社に大きくプラスに作用している。
 
 酢酸ビニルもシップメントベースの契約となっており、現在は11月の取り引き分を巡っての交渉が各地で始まっているところ。セラニーズをはじめとしたメーカー側は、CFR1,200ドルを目指して10月比100〜110ドルの値上げの受け入れを需要家各社に要求している。接着剤向けを中心に中国などで需要が一段と拡大傾向をたどっているので、短期決着となる公算が濃厚だ。
 いずれの製品も、アジア地域全多員で需要が着実に増えてきているのに対して、ここしばらく新増設が途絶えていたため供給余力が不足する事態となっている点が共通点。このため、日本国内でも、原料高騰に対処しての価格修正が順調に進展している。