2004年11月16日
電化・晝間社長 “攻めの経営”に方針転換
中間期業績 大幅増収益、来年度「大型投資計画」も
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:電気化学工業、東洋スチレン

 電気化学工業の晝間敏男社長は15日記者会見し、中間決算について「着実な業績向上を目ざしてきたが、上期は大幅な増収・増益となった。とくにスチレンモノマー、機能樹脂、電子材料部門が好調だった」など概要を説明した。好調な業績を背景に、今後は“攻めの経営”に転じたい意向だ。
 
 連結売上高は前年同期比11.1%増の1,336億円、純利益は40.2%増の61億円。通期予想は売上高2,770億円、純利益120億円の見込みで、単体の通期純利益は100億円と、過去最高になる見通し。
 
 主要品目ごとに概要を説明した中で、東洋スチレンのPS事業については「価格転嫁の遅れもあって上期はマイナスだった。しかし、今の3次値上げに続いて、第4次の値上げも考えている。タイミングよくいけば、通期ではプラスになるだろう」と、あまり不安は感じていないようだった。
 
 スチレンモノマーは、内外とも引き合いがいぜん活発。「これまでは技術の改良によってコストダウンを図ってきたが、設備償却もほぼ終わったので、若干の手直し増設をしたい」と増強に意欲を見せた。
 
 機能樹脂分野ではスチレン系の透明ポリマーが光学レンズなど、特殊樹脂「クリアレン」がPETボトル用のシュリンクフィルム向けを中心に大幅な増収増益となった。「クリアレン」は海外市場展開にも見通しがついた。今後はシンガポールに投資する考えだ。
 
 電気・電子関連の溶融シリカ、電子回路基板、包装材などの事業は、7月に電子材料事業本部を新設して統合し、研究開発体制とともに一体化したばかりだが、「期待には十分応えてくれている」と評価した。
 
 無機系ではクロロプレンゴムがフル操業を継続中。「生産が間に合わず、毎年手直し増強をやってきたが、それでもまだ足りない状況だ」と説明した。
 
 またカーバイド法アセチレンブラックは、乾電池メーカーの製法転換もあって先行きが不透明となっていたが、米シェブロンの撤退により同社に引き合いが殺到しているという。「目先きはまだ明るい。コスト的に有利な石化系アセチレンブラックに軸足を移す方針だったが、変更することにした」と語った。
 
 こうした好調な業績を背景に、今後は経営方針も「これまでの守りの経営から“攻めの経営”に転じたい」と修正する方針。設備投資にも積極的で05−06年度の2年間に樹脂部門100億円、電子材分野には80億円を投入、事業強化と拡大に弾みをつけたい考えだ。