2004年11月16日
電気化学、スチレン系事業を積極拡大
シュリンクフィルム「クリアレン」、シンガポールに設備建設
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成、デンカポリマー、電気化学工業

 電気化学工業は15日、活況をみせているスチレン系誘導品を積極展開するため大幅な増設を行うと発表した。総額100億円。長いトンネルを抜けだしての投資だけに、期待も大きい。
 
 まず、PETボトルのラベルなどに使われるシュリンク(収縮)フィルム向け高機能透明樹脂「クリアレン」について、シンガポールに年産4万トン設備を建設、欧米、中国向けに販売を開始する。06年ごろの完成を目ざす。同時に千葉工場の現有設備(年産5万トン)も順次増強する。同社のクリアレンは唯一のライバルである旭化成のコポリマー(HIポリスチレンとメチルメタアクリレート)に対し、GP(一般)ポリスチレンで、透明性にすぐれているという。
 
 次いで薄型テレビ用ディスプレイなどの光学用に伸びている透明樹脂「MS樹脂」も千葉工場に加え、シンガポールで年産3万トン設備を建設する。さらに食品容器用の耐熱OPSシートを増強する。千葉工場のシート能力を4万トンに増強するほか、デンカポリマーの成形品能力を年産2万5,000トンにふやす。ポリスチレンもシンガポールのMW(超高分子・高強度GPPS)を1.5倍の15万トンに増強する。

 クリアレンはPETボトルなどにはりつけて使用するが、印刷のラベルに比べ、はがしやすく、処理しやすいため公害をおこさないとして急速に伸びてきた。欧米や中国ではまだ紙製のラベルが一般的だが、この種のラベルに大きな関心がよせられているといわれる。