2004年11月25日
アセチル製品の価格修正、内外とも進展
国際的な需給のタイト化が供給側に追い風
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:昭和電工

 アセチル製品の価格修正がここにきて内外ともに一段と進展してきた。中国をはじめとしたアジア地域全体の需要が依然として順調に推移しているのに対して、供給量が台風による被害もあって需要量を完全に下回る状態が続いていることによるもの。
 わが国のアセチル製品メーカーは、今後もアジア地域の需給バランスは当分の間タイトのまま推移すると予想、この機を捉えて、一部に残っている値上げの未達分についても早急に是正していく構えだ。
 
 アセチル製品の国内価格については、先行の酢酸に続いて酢酸エチルと酢酸ビニルの場合もほぼメーカー側各社の希望が通るかたちで修正が進んでいる。酢酸エチルの価格は昭和電工などが打ち出していたキログラム10円の第3次値上げが需要家各社にそのまま受け入れられ、11月の出荷分は全て新価格に切り替えられている模様。酢ビも、先ずはEVA向けが同じく第3次値上げが11月出荷分から市場に受け入れられている。上げ幅は同10円から15円の間となっている。同製品メーカーでは他の分野向けについても11月中に同意を取り付けたいとしている。
 
 一方の輸出価格も、引き続きスムースに底上げが進展している。酢エチのシップメントベースの11月の価格はCFRトン当たり1150〜1180ドルで、10月に比べると40〜70ドル引き上げられている。インドネシアや極東地域のペイント関連需要の拡大によって需給が一段と引き締まっていることが大きく作用してのもの。9月に対比すると110〜140ドルのアップとなる。同じくシップメントベースで価格が動く酢ビの場合は、酢エチほどの上げ幅ではないもののやはり着実に改善されつつある。現在の平均価格は1100ドル強というところで、9月に比べると60〜70ドル高となっている。他方、酢酸は四半期単位でリストプライスが決定されるシステムが採用されている。現在は第3・四半期分の価格交渉が進行中だが、酢酸各社が打ち出していた同100ドルの値上げをここにきて台湾の需要家が受け入れる旨を表明したことから、話し合いが一挙に進展し始めている。このままいくと、同期分の価格は同810ドルとなる。酢酸メーカーは、続く第4・四半期分についても同様に100ドルの値上げを計画、すでにアジア各地の需要家と交渉を開始している。これについても台湾のユーザーが上げ幅を80ドルにすることを条件に受け入れてもよい意向を表明していると伝えられる。他の製品同様に需給がタイトバランスなだけに、各社とも100ドルの値上げの実現を目指す構えだ。