2004年11月25日 |
ANの需給バランス、世界全体でも急速に逼迫 |
欧米の供給量が定修と原料不足で縮小 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:BASF、DSM、旭化成、旭化成ケミカルズ |
AN(アクリロニトリル)メーカーならびに大手商社の調べによると、ANの国際需給バランスが11月に入って一段と逼迫してきた。 需要が中国をはじめとしたアジア各国のみならず世界全体でABS樹脂やAN繊維向けを中心に予想以上に拡大してきたのに対して、供給量が定修の集中と原料プロピレンの手当て難によってにわかに縮小してきたのが要因。これまでアジア地域にとどまっていたタイト状況が欧州さらには世界全域に広がりつつあるわけ。当面のANの新・増設は、来年3月に稼動が見込まれているBP/上海の年産26万トン設備だけ。しがって、AN関係者の多くは今後もANの国際需給バランスが緩和されることはないと予想している。 最近における需給逼迫の最大の要因の一つとなっているのは定修の集中だ。10月から11月にかけて定修を実施したところ、あるいは定修を実施中のところはダイヤニトリクスの大竹、旭化成ケミカルズの川崎、台湾CPDCのTa-Sheh、BASFの英SealSands、BP・ケルンのDormagen--の各工場。休止設備規模は年ベースで合計100万トンとなる。 もう一つ軽視できない要因は、原料プロピレンの確保難のため操業短縮を余儀なくされるところが増えてきている点だ。BPケミカルズ、スターリングケミカルス、DSM、吉林化学、CPDC--などが操短中の模様。中には最大50%まで操業率を落としているところもあるようだ。 ANの世界全体の設備能力は公称能力ベースで年590万トン、実能力ベースで500万トンと見られている。対する今年の需要量は前年を4%上回って509万トンになるというのが関係筋に共通した見方となっている。もともと供給力不足の状態にあったわけだが、ここにきて事態が一段と深刻になってきているということになる。そうした中での今後のポイントの一つは、原料プロピレンの需給バランスと価格がどうなるかにあるといえそう。 |