2004年12月08日
公取委、三井と出光のポリオレフン事業統合を承認
第三者に対するPPの長期引取権付与等を条件に
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:出光興産、日本ポリエチレン、日本ポリプロ、三井化学、公正取引委員会

 公正取引委員会は7日、三井化学と出光興産の両社に対して、両社よるポリオレフィン事業の統合計画が独占禁止法の規定に違反するおそれがないと認められる旨を条件付で回答した。これは、両社が共同出資会社を設立してポリオレフィン事業を統合する計画について、書面審査と詳細審査をした結果、統合新会社がとくにポリプロ(PP)事業について、いくつかの点をクリアすることを条件に計画を承認することにしたもの。
 
 この場合のPP事業に関する諸条件は、(1)第3者へのコストベースでの長期的引取権の付与(2)国内外メーカーへの技術ライセンス供与(3)グレードの削減(4)コンプライアンスの徹底(5)公正取引委員会への報告、の5項目。

 このうちの最大のポイントである(1)の項目については、「商社又は競争業者との間でコストベースでの長期(5年間又は相手方との協議によりそれ以上の期間)の生産受委託契約を締結して年3万トンのPPの引取権を付与、さらに商社等が引取数量の増加を希望する場合には同一条件でこれに応じてPPを継続的に国内市場に供給していくようにすること」を具体的な条件として明示している。
 
 また、(3)項のグレード数の削減に関しては、「3年間で2割以上の削減」を目標にしていくよう求めている。
 
 これらの条件は、公取委が審査の最初の段階で「PPの統合計画をそのまま認めると競争を実質的に制限するおそれがある」と両社に指摘したことに対して、両社が問題を解消する方策として改めて申し出てきた改善策とほぼ同じ内容。
 
 この日の公取委の承認によって、両社は05年4月1日付けで三井化学65%、出光興産35%の共同出資会社を設立し、HDPE、LDPE、L-LDPE、PPの計4樹脂の製造販売活動を新会社に統合する。新会社の年産設備能力は、HDPEが33万8,000トン(三井20万8,000トン、出光13万トン)、PPが136万トン(三井67万トン、宇部ポリプロ9万トン、出光40万トン、徳山ポリプロ20万トン)、LDPEが7万トン(製造は三井ポリケミカル)、L-LDPEが30万6,000トン(三井9万6,000トン、日本エボリュー15万トン、出光6万トン)--の合計207万4,000トンとなる。このうちPPのシェアは約40%となり、現在トップの日本ポリプロの35%を抜いて第一位となる(現在は三井が第2位、出光が第3位)。HDPEのシェアは25%で、日本ポリエチレンの35%に次ぐ第2位にランクアップする(現在は三井が第2位、出光が第5位)。