2004年12月17日
天津市がサウジとエチレン年産100万トン設備
06年完成目標に化学工業区に建設へ
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:BASF、住友化学

 中国天津市はかねて石油化学センターの大型化を検討、外資企業の参加を求めていたが、06年の完成を目ざしてエチレン年産100万トン規模の設備建設に着手することになった。
 
 現地情報によると、中国石化(SINOPEC)がサウジアラビアのアラムコ(国営石油会社)と合弁で、同市の渤海湾に面した化学工業区(塘沽)に同センターを建設する。
 
 この化学工業区には現在、年産11万トンクラスのエチレン設備があるが、これを一挙に10倍の111万トンに拡充するわけで、ポリエステル、ポリエチレン、スチレンなど誘導品設備の建設とともに、国内外の注目を集めている。
 
 中国の石油センターはこのところ大型化への動きが活発化。ロイヤルダッチシェルが広東省の恵州でエチレン年産90万トン設備(06年完成)の建設をきめたほか、上海市(奉賢区)では英BP(ブリティッシュペトロリアム)との合弁で同90万トン設備2基、中国石化が米エクソンとアラムコの合弁で福建省泉州市に建設を進めている。
 
 これより先、南京の独BASFによる年産40万トンの増設(計年産100万トン)が、ことしの秋に完成している。また江蘇省張家港市や上海市(高橋区)でも増設が行われ、ここ2,3年の間にエチレン年産600〜700万トン規模で拡大が進む。
 
 同国の石油化学センターは中央政府が基本計画をきめている。天津市では今回の計画を5年がかりで検討してきたが、さる11月に中央政府の認可を得た。サウジアラビアとの提携は原料となる石油の確保が第一のねらい。
 
 また、サウジアラビアの海外での石油化学分野への本格的な進出はこれが2ヵ所目。原料確保を求めた中国と、石油の付加価値を高めようとするサウジアラビアのねらいが、一致した計画である。サウジアラビアは同国内でも日本の石化連合や住友化学との合弁で、エチレン生産の拡大にのりだしている。
 
 日本の石油化学勢の中国でのエチレン部門への参加は、これまでに具体化していないが、誘導製品事業は高付加価値のポリエチレンテレフタレート、アクリルなどですでに実現している。しかし、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの汎用品については具体化しておらず、中国からの誘いもみられない。
 
 なお、天津市の石油化学大型化計画では米ダウケミカルと話し合いが進められていたが、ダウの意向が定まらず、見送りとなった。