2004年12月27日
住友化学、トッキの高分子有機EL開発を継続助成
経産省、発光材料の長寿命化や画面大型化をねらう
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:住友化学、トッキ

 経産省は平成17年度の研究開発助成のひとつとして「高分子有機EL発光材料プロジェクト」を継続して推進することになった。同プロジェクトは平成15〜17年度の3ヵ年にわたるもので事業総額27億4,000万円(うち17年度は4億円)、17年度が最終年度となる。
 
 有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイは、自発光であり液晶ディスプレイのようにバックライト(蛍光灯)を必要としないため、軽量で省エネルギー型。また電気信号に対する分子の応答が早く、動画再生の強みがあるため、将来的には液晶に代る次世代ディスプレイとして期待されている。
 
 2010年ごろには高分子有機ELディスプレイが1,086万台の需要になるとの見方と、省エネルギー効果が3万4,000キロリットル(原油換算)との見込みがある。この時点でのテレビ・モニター用ディスプレイの需要は約10兆円になると予想されている。有機ELは携帯電話・PDA(電子手帳)や中小型ディスプレイなどに市場展開が見込まれ2010年には5兆円前後の市場規模になる見通しだ。
 
 有機ELは目下、青色発光高分子材料の長寿命化や画面大型化、高耐水性封止材料の開発が課題とされている。長寿命化では液晶の6万時間に対しいまのところ2〜3万時間が限度。さらに大型画面とするための技術も必要になる。
 
 大型画面では真空蒸着法で生産している発光材料をインクジェット方式やロールツーロールで塗布する方式の開発が進められている。この点、高分子有機ELは低分子有機ELに比べ、インクジェット方式が容易に使え、画面を大型化できる可能性もある。
 
 なお、同プロジェクトには大阪大学、住友化学、トッキが参加している。同省は技術研究組合を設立して必要なパテントをプールする。