2001年10月19日
4大樹脂の7~9月期出荷、PEとPSの主要品種が不振
PPは射出成形用が4%増、フィルム用も前年超え
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:経済産業省

 経済産業省は19日、今年7~9月期における汎用4大樹脂(ポリオレフィン3樹脂とポリスチレン)の需要分野別出荷実績をまとめた。

 それによると、低密度、高密度の両ポリエチレンとPSの計3樹脂の主要品種は軒並み前年同期の実績を割り込んでいる。しかし、PPのメーングレードは逆に全てが前年を上回っている。
 
 LDPEの最大消費グレードであるフィルム用品種の同期の総出荷数量は、19万8,582トンで前年同期の実績を4%下回った。これには、電子・電機部品を中心とした工業材料の包装用の需要が不振であったのと、安価な海外フィルムの輸入が増加したことが強く影響している。また、加工紙用や電線被覆用や射出成形用も前年を下回っており、前年を上回った品種は皆無となっている。このため、国内向けの総出荷数量は前年を4%割り込んでいる。
 HDPEの場合も最大消費グレードはフィルム用だが、これも7%減の9万91トンと不振であった。容器包装リサイクル法の施行に伴う需要減と輸入品の拡大が大きく響いている。同品種に次ぐ規模の中空成形用も5%減となっている。工業薬品向けを中心とした中型ならびに小型ブローの落ち込みによるもの。全体に薄肉化が進んでいるのに加えて、工業薬品のユーザーが海外品に切り替える傾向が顕著になってきたことも作用していると見られる。ただし、同樹脂の場合は「その他品種」が12%もの増加を遂げている点が注目される。それでもなお内需全体は3%縮小している。
 PPのの中で最も消費量が大きい射出成形用は34万4,748トンで、前年を4%上回っている。コンテナーの需要が急拡大したことが大きいようだ。同品種に続く規模のフィルム用も、わずか1%の微増とはいえPEとは逆に前年超えとなっている。貼りあわせフィルムの需要が食品業界で根強いことによるもの。押出成形用も4%の伸びとなっている。食品向けの容器やシートの需要が拡大しているのが効いている模様。こうしたことから、内需全体も4樹脂の中で唯一前年を上回って(2%)いる。
 PSは、メーンの包装用が8万4,499トンで8%減となったのをはじめ、全ての分野がマイナス成長となっている。一般景気の落ち込みとIT不況の影響が大きいと言えそう。国内需要全体も5%減となっている。

四大樹脂分野別需要実績推移
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