2005年01月13日
関係各省、住宅の高断熱化をより積極的に推進へ
樹脂サッシの普及等の新たな促進策も追加
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:環境省、経済産業省、NEDO

 環境省、国土交通省、経済産業省の各省は、平成17年度において住宅の高断熱化・高気密化を一層積極的に推進していくことになった。これまで進めてきた促進策に加えて新規に予算措置を講じて新たなプロジェクトもいくつかスタートさせることにしている。
 
 注目されるのは、樹脂サッシ(塩ビサッシ)と複層ガラスの組み合わせによる家屋の開口部(窓)の高断熱化・高気密化についても各省がこれまで以上に積極的に推進していく方針を固めている点だ。京都議定書の発効がいよいよ現実のものとなってきたため、民生部門における省エネルギーの強力な促進が不可欠との認識が関係省庁の間に急速に広まってきたことによるもので、今後の各省の具体的な行動の行方に関心が持たれる。
 
 平成17年度における各省の住宅関連施策の大きな特徴は、住宅の省エネルギーの推進を中核に据えている点にある。そして、その狙いを実現させる有力手段の一つとして、住宅の高断熱化・高気密化に大きな効果を発揮する樹脂サッシと複層ガラスの組み合わせによる窓の普及促進にもより積極的に取り組む考えを打ち出してきている。
 
 最も意欲的なのは環境省だ。同省では、17年度の住宅関連の省エネ施策として以下の計4つのテーマの実現に取り組んでいくことにしている。
(1)二酸化炭素排出量削減モデル住宅整備事業(環の匠住宅整備事業)
(2)主体関連形モデル推進事業のうちの「くらし省エネ」普及啓発事業
(3)地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業
(4)地域協議会対策推進事業
の4点であり、すでに必要な予算措置も講じている。

 (1)〜(3)の項目については新規予算を確保している。4テーマのどれをとっても、重要課題の一つに樹脂サッシと複層ガラスによる高断熱窓の普及促進が掲げられている点が注目される。

 (1)の事業は、二酸化炭素の排出量の大幅な削減を図るための最適技術を導入したモデル性に富む住宅を普及させていくことを目的としたもの。17年度に全国で1,000世帯程度を募集、18〜19年度にモニタリングの実施を求めてその結果を公表し「環の匠住他君」の普及に活用していく計画。総額4億円の予算を組み、1件に付き40万円を定額補助していく。
 
 補助の要件は、1、3キロワット以上の太陽光発電システムを設置すること。2、複層ガラス、樹脂サッシ、断熱材、断熱ドア等の導入によって次世代省エネ基準と同等以上の断熱性能を持たせること。3、高効率給湯器を設置すること。4、補助を受けた住宅の居住者はエネルギー消費量やCO2削減の取組み状況について一定期間モニタリングレポートを環境省に提出すること。計4項目となっている。
 
 (2)の計画は、関係省庁と協力して主体間連携による各種省エネ・代エネ対策モデル事業を推進するというもの。1、国土交通省との協力による貨物輸送のトラックからスーパーエコシップへのモーダルシフトの促進。2、経済産業省との協力による業務ビルでの省エネ対策の推進。3、国交省ならびに経産省との協力による省エネ住宅、省エネ資材・設備等の普及を促すモデル事業の実施、などが計画されている。予算規模は6億円。
 
 同省地球環境局では、この中の3の樹脂サッシの普及も図っていきたいとしている。具体策については、工務店、NPO、自治体、住宅事業者、町内会などによる地域協議会を設置して中身の検討を促していきたい考え。民間からアイデアも募集することにしている。
 
 (3)は、17年度から19年度までの3カ年の毎年6月の環境月間において、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、街頭ポスター、電車広告、webサイト、携帯電話サイト等々のメディアを使って大々的な温暖化防止キャンペーンを実施するという計画。予算は30億円。これについても民間からアイデアを募集していくので、樹脂サッシ業界にとっても絶好のPR機会を得られることとなりそう。

 (4)の事業は、既存の「地球温暖化対策地域協議会」が地球温暖化対策推進法に基づいて実施する「代エネ・省エネ診断活動」や、「複層ガラスや樹脂サッシ等の省エネ資材の導入補助活動」などを資金面で支援していくことを目的としたもの。予算は5億5,000万円。樹脂サッシ等の設置者に対しては、既存の資材との差額の3分の1を補助していく計画。
 
 一方、国土交通省では優良住宅取得支援制度を新たに創設し、証券化ローンの枠組みを活用して省エネルギー化等の住宅の質の向上を促進していく計画。省エネ性能やバリア性能等に優れた住宅について出資金を活用して証券化ローンの金利優遇措置を講じることで、質の高い住宅の供給を促していきたいとしている。樹脂サッシによる窓を設置した住宅も対象となる。金利優遇幅は当初の5年間が0.3%の引き下げとなる見通し。一般会計から100億円の出資金を確保して実施していく。
 
 また経産省でも、省エネ対策の一つとして「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業」を推進していく中で、樹脂サッシ窓の採用を含む断熱リフォームについてもNEDOを通して補助を実施していくことにしている。予算は6億円。今年度からの継続事業で、今年度の補助対象リフォームのうち断熱窓の採用によるリフォーム件数は約50件となる見込み。