2005年01月14日
トクヤマ、燃料電池用炭化水素系電解質膜を開発
「低コスト・高い発電効率」06年事業化目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:トクヤマ

 トクヤマは14日、直接メタノール形燃料電池(DMFC)の中枢部材である電解質膜の分野でコスト、メタノール透過性などに優れた炭化水素系の電解質膜を開発したと発表した。
 
 現在、燃料電池用電解質膜の開発は化学的安定性などからフッ素系が主流となっているが、コストやメタノールクロスオーバー現象による発電効率などに難点があり、リチウムイオン電池の代替する携帯電話やノートパソコンなど携帯端末用の電源としては大きなハードルとなっている。
 
 トクヤマ・グループは50年にわたる炭化水素系イオン交換膜の技術蓄積をもち、現在、製塩用電気透析をはじめ産業用精製・分離用の電気透析など、幅広い分野に膜および装置を供給している。今回のDMFC用電解質膜は、これらの技術を活かして開発した。

 フッ素系に比べて、価格面では1/5〜1/10、メタノール透過性では1/10を達成しており、発電効率を上げるメタノールの高濃度化が可能となった。

 加工性でも電極と膜との専用接合樹脂を開発し、MEA(膜ー電極接合体)への加工を容易にした。発電効率は50mW/〓2以上を達成、炭化水素系膜の中では最高レベルという。

 すでに家電・自動車会社など燃料電池開発メーカー各社へのサンプルワークを開始しており、携帯電話、パソコン、ビデオカメラなど携帯端末用のDMFC用電解質膜として製品化の見通しがついた。

 工場ではすでに幅800ミリ、厚さ20〜40ミクロンの膜を年間数万平方メートル出荷できる体制を整えており06年の事業化を目指す。事業化後は触媒電極との接合体であるMEAの開発、販売まで行う方針。売上目標は40〜50億円としている。
 
 なお同社は1月19日〜21日に東京ビックサイト(東京都江東区有明)で開催される「第1回国際燃料電池展」に銅製品を出展、紹介する。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/0114tokuyama.doc

○写真
http://www.chem-t.com/fax/images/0114to.JPG