2005年01月21日
ポリオレフィンのフィルム用の出荷が軒並み好調
3樹脂とも昨年は揃って3%台の成長に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の昨年1年の国内向け出荷数量はめずらしく3樹脂揃って前年を上回ったが、これには3樹脂共通の主要品種であるフィルム用グレードの出荷が軒並み前年超えとなったことが大きく作用したと言える。
 
 ポリオレフィン3樹脂それぞれのフィルム用品種の昨年の総出荷数量と対前年比は、
 LDPE=855,578トン(103.1%)
 HDPE=358,073トン(103.2%)
 PP =534,693トン(103.8%)
 となっている。
 
 3樹脂のフィルム用品種が揃って前年を上回ったのは2000年いらい4年振り。うちHDPEのフィルム用は00年に1.7%増を記録していらい4年振りのプラス成長である。LDPEの同品種は2年連続の、またPPの同品種は3年連続の前年超えだが、伸び率は昨年が最も高い。ちなみにLDPEのフィルム用の03年の伸び率は2.6%であり、PPの同品種の03年の伸張率は0.2%、02年は1.0%であった。

 このように3品種が全てが前年を上回った要因については、関係者の多くが二つの点を挙げる。一つには、一般景気の好転に伴って食品を中心とした生活関連物資の流通が活発になったことであり、そしてもうひとつには原料レジンの先高観と供給不安感の高まりからコンバータを含めた需要家の多くが発注量を増やす行動に出たことが挙げられている。

 こうした中でも特に注目されるのは、HDPEのフィルム品種のプラス成長への転換だ。同樹脂のフィルム用品種の国内需要は、海外からの安価なレジ袋の輸入の拡大によって主力の薄肉・強化フィルム用グレードが年々減少の一途をたどってきていた。その薄肉・強化用が昨年は3.4%増に転じたため、フィルム用全体も前年超えとなったわけ。

 これには、昨年下期に入ってから顕在化した輸入品の大幅値上げに対処して多くのスーパーやコンビニが急遽国産レジ袋の手当てに積極的に乗り出したことが少なからず作用したと見られる。今年に入っても、コンバータや食品メーカーの間には供給不安感がまだ強い。このためレジン価格も引き続き高値唱えで推移する公算が濃厚となっている。