2005年02月03日
汎用樹脂の対中輸出、昨年もPP以外が前年割れ
2年連続の現象、新興国の追い上げも影響
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 汎用樹脂の昨年の中国向け輸出通関数量(香港向けを含む)は、合計5品目のうちPPを除く4品目が前年の実績を下回った。2年連続で同じパターンとなった。
 02年までは毎年多くの樹脂が前年を上回ってきたが、この2年は韓国や台湾勢が引き続き勢力の拡大に取り組んできているのに加えてシンガポールやサウジアラビアなどの新興国が集中的に中国に売り込みをかけてきていることから日本各社はかつてのシェアを維持できなくなってきている。また昨年の場合は、多くの樹脂メーカーが従来以上に国内市場優先策を取ったことも少なからず影響したと見られる。
 
 汎用樹脂の昨年1年の中国向け輸出通関数量が前年を上回ったのはPPだけ。PPは、ホモポリマーが前年比8.4%増の17万8,461、コポリマーが同5.7%増の4万1,208トンといずれも高水準を維持、合計では同7.9%増の21万9,669トンとなった。03年の同9.5%増に続いての高成長である。しかし、他の4樹脂は全て03年に続いてのマイナス成長となっている。LDPEは同0.5%減の13万2,812トン、HDPEは同21.9%減の10万9,557トン、PSは同15.6%減の8万3,978トン、PVCは同3.6%減の56万1,290トン--となっている。
 
 一方、中国の通関統計によると、昨年のこれら汎用樹脂の輸入数量は、LDPEが同7.7%減の134万1,543トン、L-LDPEが同9.1%増の119万5,724トン、HDPEが同5.4%増の231万5,998トン、PP-Hが同6.6%増の291万3,925トン、PP-Cが同18.4%増の25万4,442トン、PSが同0.3%減の138万2,792トン、PVC-Hが同7.4%減の162万8,793トン--となっている。このように、昨年の各樹脂の対前年比はこれまでと異なり増減が織り交ざったまだら模様となっており、しかも前年を上回った樹脂の場合も伸び率はかなり鈍化している。これには、昨年春以降相次いで各国が実施した値上げによって多くの加工企業が稼働調整を余儀なくされたことが少なからず影響したと見られている。
 大手商社筋では、こうした事態の影響を最も強く受けたのが日本の汎用樹脂だと分析している。