2005年02月21日
東レ バイオとナノテク融合で世界初「タンパク質解析チップ」開発
 タンパク質の極微量・迅速解析が可能に
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:東レ

 東レは21日、バイオとナノテクを融合して、極微量の血液等のサンプルから、簡単な操作でタンパク質を従来の100倍以上の高感度で検出できる基本技術の開発に成功したと発表した。

 この技術を用いて、上述の微量の疾患関連タンパク質の解析に必要な、精製・分離(電気泳動)・検出などの複数の機能を名刺半分の大きさの樹脂製基板の上に作り込んだ、樹脂製多機能集積型のタンパク質解析チップの試作に世界で初めて成功した。

 この開発技術は、テーラーメード医療、プロテオーム創薬に極めて有用な次世代解析技術として期待されるだけでなく、食品・環境分野でも安全性検査や解析等の技術進歩を加速するなど、今後のバイオ研究開発を支える基盤的ブレークスルー技術として期待されるという。

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「フォーカス21」の一環である「先進ナノバイオデバイスプロジェクト」の支援を受け大阪大学・川合知二、名古屋大学・馬場嘉信両教授らとの共同研究によって開発した。

 本開発の3つの特長として、次の3点をあげている。
(1)優れたタンパク質吸着抑制効果を実現=最大のブレークスルーであるタンパク質吸着抑制技術の開発のポイントは、東レが人工腎臓などの医療器材の材料開発で培ったナノレベルの表面修飾技術をラボオンチップ用に適用・開発できたことにある。

(2)1枚のチップ上に複数の機能を集積化=東レが液晶ディスプレイ部材やプラズマディスプレイ部材などの開発で培った高精度の微細加工技術をラボオンチップ用に活用した。

(3)従来の100倍以上の検出感度を実現=多機能集積化技術により信号対雑音比が高くできることから、従来の100倍以上の高感度で疾患関連タンパク質の検出が可能となった。

 今後の展開として、現在大きな検査施設でしか行えないタンパク質解析が、例えば、耳たぶから採った一滴の血液などに代表される極微量・低濃度な検体を用い、患者のベッドサイドで簡易・迅速に利用できるようになる。

 さらに、予防医学や食品・環境の安全確認の現場においても、その場で再現性よく、しかも簡便に測定できるツールへの展開が期待されるとしている。

 このため同社は、この超高感度タンパク質解析チップの応用について、今後幅広い連携を行い、ナノバイオ領域の新型バイオツール開発を進めていく方針だとしている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1108978298.doc