2005年02月25日
宇部興産の「光触媒繊維及び水浄化システム」に環境大臣賞
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産が世界で初めて開発した「表面傾斜構造を有する高強度光触媒繊維の開発とそれを用いた水浄化システム」が、環境負荷削減に大きく貢献したとして「第4回GSC賞 環境大臣賞」を受賞する。3月7日午後6時から東京・神田の如水会館で表彰式が行われる。
 
 GSC(グリーン・サステイナブル ケミストリー)とは、化学に関わるもが社会的責任を自覚し、化学技術を通して人と環境の健康・安全を目指して、持続的な社会の実現に貢献していくことを目的とした世界的な活動で、日本では化学系の学会・団体及び研究所(合計24団体)により、2000年3月に任意団体としてGSCNが設立された。
 
 GSCNでは2001年から国内にGSC賞を設けた。環境大臣賞は主に総合的な環境負荷削減に貢献した業績に授与されるが、今回受賞する宇部興産の「光触媒繊維の開発と水浄化システム」は、人体に有害な塩素消毒に代わる安全な水浄化システムとして「人と環境の健康・安全」への貢献が評価された。

 「光触媒」は、30年ほど前から注目され、現在、除菌・脱臭・空気清浄等の分野で多くの商品が開発されている。しかし、粉末状光触媒(酸化チタンの粉末)を塗布した製品が中心で、水質浄化に対しては、光触媒層のはがれなど課題が多く、本格的な実用化は困難とされてきた。

 宇部興産・宇部研究所では、光照射によりあらゆる有機物質の酸化分解機能を発現するナノレベルの表面傾斜構造を持つ「高強度光触媒繊維」の開発に世界で初めて成功し、その成果としてこのほど、同繊維を内蔵した高効率浄水システムを開発した。
 
 なお、同繊維に関する学術論文は02年3月、イギリスの科学雑誌「Nature」で紹介され、反響を呼んだことがある。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1109306242.pdf