2005年03月03日
トクヤマとシャープ、液晶の廃現像液を共同で「マテリアル・リサイクル」
世界初、液晶工場の「クローズド・システム」構築
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術、環境/安全)
【関連企業・団体】:シャープ、トクヤマ

 トクヤマとシャープの両社は3日、液晶工場で使用済みとなった現像液をマテリアル・リサイクルする技術を共同開発したと発表した。液晶工場における、世界初のクローズド・システムとして注目される。
 
 シャープは今後、三重工場(三重県多気郡)の専用装置で使用済み現像液を濃縮・回収した後、トクヤマの専用工場(関西)に送る。トクヤマはこれを再生処理し、シャープ三重工場で再使用する。両社ともこのほど、これらの新設備を完成した。稼動は05年4月の予定。

 液晶パネルのフォトリソ工程で使用する現像液は、原液を一旦希釈して使用する。このため、使用済み現像液は濃縮・回収する必要がある。しかし、レジスト成分が溶け込んでいるため、濃縮・回収の際に大量に発泡し、これを抑えるために消泡剤を使用するが、不純物が混入するため、リサイクル処理が極めて困難だった。

 両社は、それぞれの環境技術を持ち寄り、これらの課題を解決するマテリアル・リサイクル技術を開発した。シャープは、独自設計の濃縮釜を有するリサイクル装置を開発し、濃縮・回収する際の発泡を防ぐことに成功。これにより消泡剤が不要となり、高純度・高濃度の現像液回収を可能とした。
 
 一方、トクヤマはシャープから搬入する使用済み現像液を専用の回収工場で再生し、新液と変わらない品質でシャープ三重工場へ供給する体制を確立した。これにより、液晶工程における現像液のクローズド・システムを完成した。

 トクヤマは現在、山口県周南市の徳山製造所および、三星精密化学との合弁会社である韓徳化学(本社:韓国ソウル市)で現像液を製造する世界最大の現像液メーカーで、今後はこれらの技術を活かして、国内外の大口需要家を中心に現像液のマテリアル・リサイクルを展開していく方針である。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1109828375.pdf