2005年03月14日
タカラバイオ、三重大学に遺伝子治療の寄付講座開設
【カテゴリー】:経営(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:タカラバイオ

 タカラバイオ(加藤郁之進社長)は14日、三重大学(豊田長康学長)医学部に寄附講座を設置すると発表した。同大学医学部 内科学第二講座(珠玖洋教授)と共同で、肺がん、食道がん、頭頚部がん等の難治性のがんを対象としたT細胞受容体(TCR)遺伝子治療の臨床開発を推進する。

 TCR遺伝子治療は、がん患者から、末梢血リンパ球(PBL)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)などを採取し、同社が開発したレトロネクチンRを用いて、患者のがん細胞にだけ発現しているがん抗原を認識する受容体(TCR)遺伝子を導入する。次にこのリンパ球を培養後がん患者に戻す。これらの遺伝子導入リンパ球の細胞表面には、がん抗原ペプチドを認識するTCRが発現しているので、がん抗原を提示するがん細胞を特異的に認識して、そのがん細胞を消滅させる。

 タカラバイオは、リンパ球を処理するのに必要な細胞処理施設を大学付属病院の近くに設置する。設置費用や維持費を負担する。

 TCR遺伝子治療には、臨床医師グループと遺伝子工学グループの密接な連携が必要だが、珠玖教授は日本のがん免疫治療研究領域の第一人者で、遺伝子工学分野に独自の技術をもつタカラバイオとの共同研究の成果が期待されている。

【寄附講座の概要】
(1)名称:遺伝子・免疫細胞治療学寄附講座
(2)設置期間:2005年4月から2010年3月
(3)寄附金総額:3億円(6,000万円 X 5年)

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1110779682.doc