2005年03月15日
BPAのアジアの需給、今年も一段と逼迫
需要が拡大、欧米品の流入はゼロに
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外)
【関連企業・団体】:三井化学

 BPA(ビスフェノールA)のアジア地位における今年の需給バランスはこれまで以上にタイトとなる公算が濃厚となってきた。台湾の長春石油化学がBPAの新プラントの稼動を開始すると見られる秋口までは特に逼迫の度合いが強いと見られる。
 
 BPA大手の三井化学の調べによると、アジア地域(日本を含む)のBPAの04年度(04年4月から05年3月)における総需要量は、ポリカーボネート用100万3,000トン、エポキシ用46万4,000トンの合計146万7,000トンになったと推定されている。
 
 対する同年度における総生産設備能力は、148万4,000トンであった。前年度に比べると13万4,000トン多い。ただし実生産量は、小規模のメカニカルトラブルの発生や定修による運休などでネームプレート能力をかなり下回る規模にとどまったと見られている。このため同地域のユーザーの多くが欧米で余剰となったBPAの手当てに走り、年8万トン程度を確保してようやく急場をしのいだ模様。
 
 三井化学では、今年度は中国を中心に需要がさらに拡大するのが必至と判断、一方のBPAの新増設が引き続き小規模にとどまるのに加えて欧米からの流入がほとんど期待できないと予想して品不足が一段と深刻になると見ている。
 
 需要量については、PC用110万トン、EX用49万トンの合計159万トンと予想している。対する設備能力については、4~8月が年産ベースで160万4,000トン、9~06年3月が168万5,000トンになると推定している。04年度より増えるのは、韓国・LGケミカルの年産12万トンプラントが4月から本稼動入りするのと、台湾・長春石油化学の13万5,000トン設備が9月から稼動を開始する見通しにあるためだ。
 
 欧米からの流入がゼロになった場合、8月まではきわめてタイトな状態が続き、既存設備の定修時には完全な品不足となる見通しだ。しかも、9月以降ノバランスも長春石化の設備の稼動次第ということになり、このため同社では、年間を通して需給が緩むことだけはあり得ないと判断している。