2005年03月18日
ポリオレフィンの出荷、主要品種が軒並み減少
LDPEとHDPEのフィルム用は異例の前年比2けた減
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の2月の国内向け出荷は15ヶ月振りに3樹脂揃っての前年同月割れとなったが、関係筋の調べによると、これには各樹脂の最大消費分野向けとそれに次ぐ規模の需要分野向けが軒並み前年を下回ったことが決定要因となっていることが明らかになった。
 
 ポリオレフィン各樹脂の最大消費分野は、LDPEとHDPEがともにフィルム分野、PPが射出成形分野となっている。各分野向けの2月の出荷量はLDPEのフィルム用が6万7,500トンで前年同月比11.3%減、HDPEのフィルム用が2万5,500トンで同13.3%減、PPの射出成形用が12万7,200トンで同3.5%減--と軒並み前年を下回っている。うちLDPEとHDPEのフィルム用はいずれも3ヶ月連続の前年同月割れであり、しかも減少率がともに異例の2けたに達している点が軽視できないところ。ちなみに、昨年2月の前年同月比は、LDPEのフィルム用が11.3%増、HDPEのフィルム用が6.3%増であった。LDPEのフィルム用の大幅減は一般フィルム用の11/6%減が、またHDPEのフィルムの縮小は輸入圧力の強い薄肉・強化用の14.4%減がそれぞれ大きく影響してのもの。一方のPPの射出成形用は、4ヶ月振りの前年割れとなっている。昨年2月は3.7%増であった。今年2月の落ち込みは、雑貨向けが2ヶ月連続の前年割れの15.0%減となったことによる。
 
 これらに続く規模の需要分野としては、LDPEでは加工紙分野が、HDPEでは中空成形分野が、PPではフィルム分野がそれぞれ挙げられる。うちLDPEの加工紙用の2月の出荷量は2万500トンで同6.5%減、HDPEの中空成形用は1万5,400トンで同1.2%減、PPのフィルム用は4万1,100トンで同2.2%減--となっている。この中では、HDPEの中空成形用が15ヶ月振りの前年割れとなっている点が特に目を引く。ガソリンタンク用は好調を維持しているが、中型缶が10.8%減となったのが響いている。PPのフィルム用は4ヶ月振りに前年同月を下回った。OPPの5.6%減が足を引っ張った。これら3品種の昨年2月の前年比は、LDPEの加工紙用が3.7%増、HDPEの中空成形用が13.1%増、PPのフィルム用が2.2%増--であった。
 このように今年2月の実績は、需要構造の第1〜第2勢力分野の全てが1年前と逆に前年割れとなっているわけ。その最大の要因は、昨年2月から3月にかけて発生した前倒し需要が今年2月はほぼ皆無であったことにあると見てよさそう。ただし、加工業界の間には、昨年末までに末端市場に蓄積された最終製品の在庫がまだ市中にかなり残っていることも2月の不振の要因と分析する向きもあり、このため3月の最終製品の動向が注目される。