2005年03月22日 |
チッソ、熱安定性を持つ蛍光タンパク質の変換に成功 |
世界初、「医薬品開発用試薬」分野へ展開期待 |
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル) 【関連企業・団体】:チッソ |
チッソは22日、横浜研究所で発光オワンクラゲに存在するカルシウム結合発光蛋白質「イクオリン」から「蛍光活性を持つ耐熱性ルシフェラーゼ」の変換に成功したと発表した。「蛍光活性」と「発光活性」を同時にもち、かつ「熱に対して安定」な蛋白質の変換としては世界で最初の発見となる。 同研究所では、発光クラゲ、深海エビ、発光細菌及び米国産ホタルなどの発光生物由来蛋白質群の遺伝子単離、組換え蛋白の精製、およびその応用研究を進めているが「イクオリン」は、微量(10-7M)のカルシウムイオンと反応して青色に瞬間発光する発光蛋白質。 今回の「蛍光活性を持つ耐熱性ルシフェラーゼ」は、波長350ナノメーターの光を照射することにより青色蛍光を発する蛍光蛋白質の性質を示す。また発光基質(ルシフェリン)を添加することにより、通常のルシフェリン-ルシフェラーゼ反応がおき、連続発光するルシフェラーゼの性質を示す。このルシフェラーゼを95度で3分熱処理した場合でも、蛍光活性およびルシフェラーゼ発光活性は90%以上保持される。 このように「蛍光活性」と「発光活性」を同時にもち、かつ熱に対し安定なルシフェラーゼは、これまで世界的にも報告されていなかった。また、このルシフェラーゼは、ある条件では瞬間発光するイクオリンへの変換も可能。研究所では、発光クラゲの発光器内でのイクオリンの発光-再生機構の研究過程で今回の発見に至った。またその結果をまとめモデルを提案し、FEBS Lett.(2004)577:105‐110に掲載された。 今後は、カルシウムイオンによる特異的な瞬間発光の原理を利用した細胞内生体機能の解析や、抗原抗体反応による環境汚染物質の検出などへの応用が期待される。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1111469621.doc |