2005年03月24日
旭化成ケミ、ANの対中輸出価格の引き上げへ
4月分をトンCFR1,420ドルでオファー
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(市況)
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズはこのほど、中国のアクリル繊維メーカーやABS樹脂メーカーなどAN(アクリロニトリル)の大口需要家に対してANの4月の輸出価格をトン当たりCFR1,420ドルに引き上げる旨を通告、同意を求めた。
  
 旭化成ケミカルズをはじめとしたアジア地域におけるANメーカーによる現在の中国向け輸出価格は同1,340〜1,350ドルとなっている。最近のボトムの今年1〜2月に比べると100ドル前後回復しているが、旭化成ケミでは4月の原料ベンゼンの高騰が不可避となってきたためさらに70〜80ドルの底上げを図ることにしたもの。
 
 同社によると、中国のANの需要はアクリル繊維向けもABS樹脂向けもともに再び拡大傾向をたどり始めており、同社に対する引き合いと注文も一時の不振から抜け出して再度活発化してきている。
 対する供給能力は、2月末以降に台湾・FPCの年産20万トン設備や旭化成ケミ・水島の同30万トンプラントさらには韓国・泰光産業の同25万トン設備が相次いで定修のため運休中のため全体に大幅に縮小している。加えて中国のBP/上海石化の同26万トン装置の稼動開始が予定よりかなり遅れる公算が濃厚となってもいる。このため現在の需給バランスはこれまでになくタイトな状況にあり、今後も当分の間緩和される見通しにはない。それだけに同社が原料の高騰分を円滑に輸出価格に転嫁できる可能性はかなり高いと判断される。