2005年03月24日 |
信越化学、ネオジム系希土類磁石の新高性能化技術を開発 |
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術) 【関連企業・団体】:信越化学工業 |
信越化学は24日、磁石特性を大幅に向上させた「ネオジム系希土類磁石(Nd磁石)」技術を開発したと発表した。 従来の「二合金法」をさらに発展させ、既存の製法に新たな工程を加えることで、特に磁石の耐熱性を高め、保磁力を大幅に増大させることに成功した。耐熱グレードでは世界最高の特性を実現した。同社は、この新製造法を「粒界拡散二合金法」と名づけた。現在、日本をはじめ世界各国に特許出願中。 Nd磁石の用途で、今後高成長が見込まれるハイブリッド車用モータ、エアコン用コンプレッサーモータ等の分野では、高い耐熱性と高性能化の両立が必要なため、高い保磁力と高い残留磁束密度が同時に求められている。 しかし、従来の製造法で保磁力を高めるためには、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)など、資源的制約のため供給量に限界があり、コストの高い希土類元素を多量に添加する必要があった。また、こうしたDyなどの添加が、トータルの磁気特性を左右する残留磁束密度を低下させる問題があった。 今回開発した「粒界拡散二合金法」は、磁石の粒界にDyなどの元素を集中させることで、残留磁束密度を維持したまま保磁力を30%以上増大させることに成功した。その結果、高い耐熱性と高性能化の両立が可能となった。 希土類磁石の市場は、自動車や家電など各種用途への拡がりを受け、大きな伸びが期待されている。特に、耐熱性の求められる高特性Nd磁石の需要はハイブリッド車などへの車載、エアコンなどの家電、ハードディスク用途を中心に、今後数年で20%以上の伸びが見込まれる。 同社は、同技術による製品のサンプル出荷を年内に開始し、2006年からの量産開始を目指して生産体制を整え、成長分野での販売シェアを高めていく方針である。 ※二合金法:Nd磁石の製造法の一種で、特定組成の合金を二種類混合して焼結する方法。 ※保磁力:外部磁界に対抗して磁石が磁束を保持しようとする力。磁石の外部磁界に対する耐力。 ※残留磁束密度:磁石の磁力の強さを表す値。この値が大きいほどその磁石の発生させる磁束量は多くなる。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1111652522.doc |