2005年03月29日
三井化学、PTAの4月の対中輸出価格を据え置き
原料PXの価格のロールオーバーに連動
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(市況)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はPTA(高純度テレフタル酸)の4月の中国向け価格をCFRトン当たり970ドルとする方針を固めて先週半ばに中国の需要家各社に通告するとともに受け入れ方の説得を開始した。
 3月分については2月末に各需要家に今回と同じ970ドルを提示、その結果29日までにほとんどの需要家の了承を取り付けている。残る一部のユーザーからも今週末までに同意が得られる見通しだとしている。その場合は、2月分に比べて同30ドルの底上げが実現する。1月分に対比すると70ドルの改善となる。
 
 今回は4月分もその3月分と同じレベルに据え置くことにしたもの。その理由については、原料PX(パラキシレン)の4月の価格が3月と同じトン当たり1,010ドルとなることがここにきてほぼ確定した点を挙げている。
  
 中国のPTAの需要は旧正月休暇明け以降に順調に回復、2月の輸入通関数量は前年同月を9万6,000トン上回って52万7,000トンに達した。3月も繊維向けを中心に需要は引き続き拡大傾向にあり、同社に対する引き合いと注文も前年をかなり上回っているという。ただし、同社の場合はもともと稼働率が高いため大幅な増産は不可能であり、また在庫も適正規模を大きく下回っているので需要の拡大への機敏な対応は困難な状況にある。
 また、他のPTAメーカーにも供給余力はなくなってきており、しかも韓国のKPケミカルの3系列合計年産110万トン能力のPTA設備のうちの35万トンプラントが火災を起こして2月下旬以降とまったままの状態にある。復旧は5月初頭になると見られており、加えて昨年40万トンが流入したスペイン品が今年はほとんど入ってこない見通しもあって、中国を中心としたアジア地域の需給はこれまで以上にタイトとなっている。
 ただし、中国のポリエステル繊維メーカーは各社とも今年に入ってからの原料高を製品価格に転嫁できておらず採算が一段と悪化している。したがって、PTAメーカーもタイトバランスを背景とした値上げには簡単に踏み切れない状況にある。