2005年03月30日
三井化学、エラストマーの新品種を1日から販売
世界初のメタロセン触媒によるプロピレン系製品
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は4月1日にエラストマー(軟質高分子素材・商品名タフマー)の新品種「タフマーXMシリーズ」の販売を開始する。
 今回同社が新たにラインアップするのは、世界でも初めてのメタロセン触媒によるプロピレン系高機能エラストマー。従来のチーグラー触媒による製品以上の低温ヒートシール性や耐ブロッキング性等を発揮するのが大きな強み。市原工場内で稼動中の年産3万トン能力のメタロセン専用エラストマープラントを改造して量産する。06年度10億円以上が当面の売上げ目標。同社では、この新シリーズの早期育成・強化によってかねてからの中期経営計画の重要な柱の一つに掲げている機能性材料事業の拡充の実現に大きな弾みをつけていきたいとしている。
 
 同社では、今回の「タフマーXMシリーズ」を高機能樹脂改質材向けを中心に大きく伸ばしていきたい意向。これは、ポリプロピレン(PP)とブレンドしてPPフィルムのヒートシール(熱融着)層に用いると従来のタフマーよりもさらに20℃低い温度でヒートシールできるという同シリーズ特有の優れた機能を包装材分野でフルに活かしていきたいとの考えによるもの。かねてから機能性フィルムメーカーや食品メーカーをはじめとしたエンドユーザーの間では、樹脂フィルムのシール温度を少しでも引き下げられる材料の開発が強く求められていた。機能性包装材料の製袋工程や食品等の包装工程における効率の向上、つまり生産活動全体の効率アップには安定的に低温シール(高速シール)できる材料が不可欠と言えるからだ。このため同社には、同シリーズに対して多彩なユーザーからいち早く活発な引き合いが寄せられているという。
 同社が伸ばしたいと考えている改質材用途のもう一つの柱は、耐ブロッキング材料。これは、同シリーズがフィルムの貯蔵や輸送の課程において発生するブロッキング現象(フィルム同士が粘着してしまう現象)を未然に防ぐことができる強みを持っている点を大いに活用したいと考えてのもの。
 また、こうした樹脂改質材以外の分野でも、優れた相溶化性を活かすなどによって耐熱性材料市場などの新しい需要領域を切り開いていきたいとしている。